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優しすぎて自己主張ができないお父さんの姿にほっこりする『私はいったい、何と闘っているのか』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:230/277
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】

コメディ
ヒューマンドラマ
ファミリー

【元になった出来事や原作・過去作など】

・小説
 つぶやきシロー『私はいったい、何と闘っているのか』(2016)

【あらすじ】

伊澤春男(安田顕)・45歳は、地元で愛されるスーパー”ウメヤ”の万年主任。個性あふれる部下たちにも恵まれ、日々楽しく働いている。一方で家に帰れば、しっかり者の妻や子供たちに囲まれ、5人家族の父親という典型的なマイホームパパ。

しかし、一見平凡そうに見える春男の脳内は毎日が戦場だった!24時間忙しいその頭の中は休まるヒマがなく、仕事でも家庭でも常に空気を読みムダに気を遣いまくるが、よかれと思ってやったことがことごとく裏目に出てしまう。

「俺の人生はいつもこうだ。
 俺は…いったい“何と闘っているのか”」

そんなある日、“ウメヤ“の店長が急死し、新しい店長が必要となる。次の店長候補として、すっかりその気になる春男だったが、実際に任命されたのは、本部からやって来た明らかに年下でやる気なさげな西口(田村健太郎)。春男は急ごしらえ感の否めない“副店長”の座に収まることに…。

日々の苦難を乗り越えながら、ついに新店長という嬉しい打診が舞い込んでくるのだが……。

【感想】

原作小説は読んでいませんが、ちょいちょい笑える映画でした。世の闘うお父さんたちは共感、、、できるでしょうか?(笑)

<安田顕の平凡なお父さん感がハマりすぎ>

この映画で一番よかったのは、主人公の春男を演じた安田顕が役にハマりまくっているということ。春男は昼間はスーパーの主任、家に帰れば5人家族の大黒柱といういわゆる“フツーのお父さん”です。これで阿部寛とか出てきても、そのミスマッチ感に感情移入できなそうですが、安田顕ということでとても親しみやすい感じがあります。

しかも春男は、思ったことはなかなか口にできない性格。スーパーでも家でも、常にいろいろ考え、まわりに言いたいことはあるものの、それらはすべて“心の声”として処理され、口から出る言葉はほとんどありません。小心者なのか、衝突を恐れているのか、とにかく空気を読みすぎて、基本は黙っていることが多い。その割に心の声はやかましい(笑)黙っている人ほど、言いたいことは多いという典型的なパターンですが、自分だけじゃなく、まわりを見渡しても同じようなタイプの人はいるかもしれません。そういう共感を呼びやすい感じがよかったです。

<意外とワケありな過去>

平凡で多くを語らない人物として描かれている春男ですが、実は家族構成に秘められた過去があります。ネタバレになるので書けませんが、勤務先でのスーパーの話はコメディ寄りな一方、その家族に関わる話はヒューマンドラマ寄りで、なかなかに感動的なエピソードです。そこが笑いと涙のバランスをうまく取っているところですね。いつも肝心なところで黙ってしまう春男だけど、優しく、芯のしっかりしていることが垣間見える家族の物語を見て、春男のキャラクターの好感度は爆上がりでした。とはいえ、家族の話は唐突にやってくるので、イマイチ入り込めなかったのは、ちょっと残念でした。

<その他>

笑いと涙で攻めてくる映画ではありますが、正直テンポがいいとは言えず、ちょっと間延びしてる印象も受けるので、個人的にはそこまでハマりきれませんでした。ただ、ほっこりするファミリー映画ではあるので、年末年始で癒されたいときには観てもいいかもしれません。


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