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ゲイたちの自由奔放さに笑い、仲間を想う気持ちに泣いた『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:19/152
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
コメディ
スポーツ
水球
ゲイ

【あらすじ】

50m自由形の銀メダリスト・マチアス(二コラ・ゴブ)は、同性愛差別発言によって世界水泳大会への出場資格を失ってしまう。再び資格を得るために出された条件は、3ヶ月後にクロアチアで開催されるゲイゲームズ出場を目指すゲイの水球チームのコーチになることだった。

渋々引き受けたマチアスが対峙したのは、一癖も二癖もあるメンバーが揃う弱小チーム「シャイニー・シュリンプス」。適当にやりすごそうと考えていたマチアスだったが、悩みを抱えながらも大会を通して自分らしさを表現しようとするメンバーたちに、少しずつ心を開いていく。愛娘ヴィクトワール(マイア・クズマン)の後押しもあって、真剣に向き合うようになったマチアスに応え、チームは次第にまとまるように。

なんとか予選を通過できたものの、クロアチアに向かう道中、メンバーが仲間割れをしてしまうある事件が起きる。そしてマチアスとシャイニー・シュリンプスのメンバーには、思いもよらない悲しい現実が待ち受けていた──。

【感想】

実在するゲイの水球チームを題材にした映画なんですが、これは設定が秀逸すぎて面白いです。

<出てくるキャラクターたちの個性の強いこと強いこと>

前におじさんだらけのシンクロチームを描いた『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(2019)っていうフランス映画は観たんですけど、今回、ゲイになったこともあってか、より下ネタとすぐ脱いじゃう自由奔放さに磨きがかかるから笑っちゃいます(笑)特に、アナルに某ハリウッド俳優のタトゥーを入れていたシーンは一番ツボでした(笑)ゲイに人気なんだって。

陽気で奔放な彼らですが、実はみんなそれぞれ悩みがあります。普段から人々に好奇な目で見られるからこそ、自分という存在について誰よりも考え、自らを何かで表現したいのかなと感じました。それが今回は水球だったと。

<事実に則った設定にリアリティを感じる>

冒頭にも書いた通り、このシャイニー・シュリンプスは実在するチームなんですが、彼らの最終目標であった「ゲイゲームズ」というのも実在する大会なんですよ。世間からの理解やリスペクトを促すようなゲイ・オリンピックとして、1982年に第1回目がサンフランシスコで開催されるぐらいには歴史ある大会だそうで。その入場シーンは、先日の東京オリンピックの開会式並みに派手で艶やかで華やかだったのが目に焼き付きます。

実際の水球シーンも本格的なのが見ごたえあるんですが、主人公を演じたニコラ・ゴブの役作りがすごくて。彼はコーチで水球はしないものの、もともと50m自由形の選手という設定で、そのタイムは22秒台というまさに世界記録レベル。そのためか、メチャクチャ鍛えられた身体をしていて、水泳をやっている自分から見ても素晴らしい肉体だと思いましたね。

学生の頃、某水泳漫画の実写化映画をサークルの同期と観に行ったんですが、「その身体でそんなタイム出るわけがないw」とブーイングの嵐だったことを踏まえると、海外映画の肉体的な役作りのストイックさに驚きます。

<その他>

この映画、カメラワークも個人的には好きだなと思いまして。というのも、カメラがプールに中に入ったり出たりするんですけど、そのたびに時間経過があったり、みんなの水球とマチアスの競泳で入れ替わったりと、かっこいい演出なんですよ!これは水泳をやっている身からしたら余計にビビってくるものがありました。

それにしても、LGBTをメインにしたコメディっていうのは洋画ならではかなって思いますね。邦画だとまだまだラブストーリーしかなかったりするので。

とにかく、笑いあり涙ありのヒューマンドラマで、とてもオススメしたい作品です!


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