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子どもの自主性を重んじ、可能性を広げる『モンテッソーリ 子どもの家』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:8/30
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ドキュメンタリー
教育
モンテッソーリ

【あらすじ】

世界中で実践されている教育メソッド「モンテッソーリ教育」の魅力と子どもたちの成長をつづったドキュメンタリー。

20世紀初頭にイタリア出身のマリア・モンテッソーリが考案し、世界中に普及したモンテッソーリ教育。

ルーベにあるフランス最古のモンテッソーリ学校の幼児クラスを2年3カ月にわたって取材し、2歳半~6歳の子どもたちがユニークな教具で自由に学ぶ姿、そして彼らが成長していく中でふと訪れる魔法のような瞬間を映し出す。

【感想】

子持ちの親御さん必見のドキュメンタリーですね。これはものすごく興味深い内容で、この教育法に対する感心と、子どもたちの特性を説明した言葉に共感しまくりでした。「そうそう、子どものときそうだった!」と。

Amazonのジェフ・ベゾスやGoogleのラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリン、Wikipedia創設者のジミー・ウェールズ、英国王室のウィリアム&ヘンリー王子、経営学者のピーター・ドラッカー、『アンネの日記』のアンネ・フランク、俳優のジョージ・クルーニー、将棋の藤井聡太など、世界の名だたる人々が受けたモンテッソーリ教育。こう書くとエリート養成が目的なのではと思ってしまいますが、そうではありません。実際の現場を見ると、子どもの可能性や自主性に寄り添った教育の素晴らしさに気づきます。ひとりの人間としてあらゆる可能性を引き上げてくれる環境はうらやましいですね。

人はいつから子どもたちのような自由さを失うのでしょうか。これを観ると、小学校以上の教育法や職場環境の在り方の多くは、人の可能性を潰してしまうのではないかとさえ思ってしまいます。

子どもの好きにさせるのがいいのか、親が代わりに考えるのがいいのか、迷うときはこの映画を観るといいかもしれません。

以下、映画で言われていたことの雑多なメモを乗せておきます。映画観ながら走り書きでメモったので、もしかしたら間違っている部分もあるかもしれませんので、そこはご容赦ください。

・大人は物事のやり方がわかった時点でやめるか他の人に任せるが、子ども
 は目の前にあることを飽きるまで繰り返す。そうすることで能力を磨いて
 いる。この学校では子どものすることは"お仕事"と呼んでいるが、そうい
 う仕事への自然な欲求が人間の本質であると捉えている。

・子どもにとっては"できた"ということが出発点で、その後何度も繰り返す
 ことで"やりたい"という欲求を満たしている。

・子どもは言葉だけの世界では飽きやすいが、手を動かすと集中する。

・子どもたち同士は基本的に助け合うことはしない。それは「自分でやりた
 い」という欲求をお互いに尊重しているから。

・子どもは嫉妬しない。できないことに対する恥じらいもなく、大きくなっ
 たら自分もできるようになるとわかっているから。

・子どもを尊重したいなら、自主性に任せること。ひとりでやらせて自分の
 能力をわからせる。

・4歳になると言語に興味を持つが、これを"言語の敏感性"と呼び、"吸収す
 る精神"で大した苦労もなく、どんどん言語を習得していく。大人はこの時
 期を見極め、自然と湧き出るやる気を阻害してはならない。また、"吸収の
 精神"は7歳を過ぎると失われていく。

・モンテッソーリ教育の本質は"集中力の獲得"にあるが、体を動かすと子供
 は集中しやすい。また、細かい作業になるほど子どもは集中するが、これ
 を"集中現象"と呼び、いわゆる"天才"と呼ばれる人たちと同等の集中力と
 なる。

・整理整頓された環境が子どもの好奇心を刺激する。物がありすぎると気が
 散ってしまう。

・この学校では、子どもに対して褒めたり、罰を科したりはしない。仮に褒
 めてしまうと、自分で気づく楽しさを失ってしまう。

・ある生徒が他の子の絵を下手だと言ったとき、先生はやみくもに叱るので
 はなく、「かわいいかどうかはその子が決めることだから、あなたが言う
 ことではないんだ」と悟らせる。

・子どもは注目されたいし、愛されたいと思っている。だから、新しいこと
 を教えるとき、先生はその子に付きっきりとなり、他の子が話しかけても 
 「今、この子にすべてを捧げているから、他の人に聞いてごらん」と、決
 して中断することはしない。

・子どもが間違っていても先生は指摘しないこともある。大事なのは正解を
 当てることではなく、子どもの能力を伸ばすことだから。

・教育者の成功とは、まるで自分がいないかのようだと思えるかどうか。

・大事なのは、自分がやりたいことをやらせ、誰もそれに口出しをしないこ
 と。

・人生で最も重要な時期は、生まれてからの6年間。


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