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後見人ビジネスを軸にした予測不可能なサスペンスが秀逸だった『パーフェクト・ケア』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:20/262
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】

サスペンス
後見人ビジネス
野心家すぎる女性

【元になった出来事や原作・過去作など】

なし

【あらすじ】

法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすることが仕事だ。常にたくさんの顧客を抱え、裁判所からの信頼も厚いマーラだが、実は医師やケアホームと結託し、高齢者たちから資産を搾り取る悪徳後見人だった。

パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)と共に、すべては順風満帆に思えたが、新たに獲物として狙いを定めた資産家の老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)をめぐり、次々と不穏な出来事が発生し始める。身寄りのないはずのジェニファーの背後には、なぜかロシアン・マフィア(ピーター・ディンクレイジ)の影が……。

迫りくる生命の危機、まさに絶体絶命、マーラの運命は果たして――!?

【感想】

これは想定外に面白い映画でした。アマプラとかでも配信してるんですけど、3週間限定で劇場公開もしてるので、ぜひ環境が整った映画館で観て欲しいですね~。ジェットコースターみたいな展開に見入っちゃいますから!

<マーラの悪どい商売>

主人公マーラは正義の味方ではなく、どちらかと言えば相当に悪いやつです(笑)金のある老人を見つけては、グルになっている医師に誇張した診断書を書かせて、裁判所で後見人の認定を受けます。それで施設に放り込んだら、その老人たちの資産はまるっといただくと。裁判は老人本人も家族もいないのだけど、そんな簡単に後見人になれるものなのか、、、とは思いますけど(笑)アメリカでは割と可能なんですかね。

<それはいつもと同じ手はずだった……しかし……>

そんな感じで目をつけたジェニファー。元気いっぱいのおばあちゃんでしたが、彼女も認知症の症状が出ていると言い張り、本人の意見は完全にスルーして施設に入れてしまいます。ジェニファーの家は差し押さえ、家具類はすべてオークションへ。銀行の金庫に預けてあるダイヤモンドなんかもごっそりいただいてました。彼女にとってはいつもやっていることなので、ルーティンみたいなもんですよ。

ところが、このおばあちゃんが実はメチャクチャやべぇやつで、マーラたちが危機に陥ってしまいます。一体ジェニファーは何者なのか、マーラたちの運命はどうなるのか、そして迎える衝撃の結末など、いろいろまさかすぎる展開で、テンポよく話が進んでいくから、すごく楽しめます。

<マーラのキャラクターにハマる>

最初は悪どいことしてるマーラたちに、「天罰が下ればいいのに」って思ってたんですが、このマーラのキャラがまた濃くてね、だんだん惹かれていっちゃうんです。ロシアン・マフィアに対しても、怯むどころかまったく恐れることなく、ズケズケと自らの主張を押し通そうとする肝の据わりっぷり。思わず「アネさん!」と慕いたくなります。

それもこれも、彼女には大金持ちになりたいという強い野心があるからなんです。「この国(アメリカ)で真面目に働けば成功する」と信じていた彼女ですが、それは幻想だと気づきます(かといってその経緯が描かれているわけではありませんが)。世の中には2種類の人間がいます。奪う側と奪われる側。彼女は奪う側にまわることを決意しました。強い野心や情熱の前では、マフィアに脅されて命の危険にさらされるなんてこと、鼻くそみたいなものなのかもしれませんね。

ラストもサッパリしたいい終わり方です。野心家だろうが、成功者だろうが、結局は、、、ってね。これは続編か前日譚の物語あったら観たいですね。それぐらいストーリーとキャラクターが魅力的でした。

<その他>

ちなみに、マーラとグルの医師役で出ていたアリシア・ウィット、綺麗な女優さんですが、まさかの『デューン/砂の惑星』(1984)で、アリア(ポールの妹)を演じてた子役ちゃんなんですよね(笑)あんなかわいかった子が、こんな美しく成長するなんて、なんだか感慨深いです。

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