見出し画像

傍若無人すぎる家族の振る舞いに胸糞悪さしかなかった『家族の肖像』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:14/16
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Gruppo di famiglia in un interno
  製作年:1974年
  製作国:イタリア・フランス合作
   配給:ザジフィルムズ
 上映時間:121分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし

【あらすじ】

ローマ中心地の豪邸に住む老教授(バート・ランカスター)。彼は〈家族の肖像〉と呼ばれる18世紀英国の画家たちが描いた家族団欒の絵画コレクションに囲まれ、穏やかな毎日を送っていた。

ある冬の日、画商を通して教授に近づいたビアンカ夫人(シルヴァーナ・マンガーノ)は、娘のリエッタ(クラウディア・マルサーニ)とその婚約者ステファノ(ステファーノ・パトリッツィ)、美青年コンラッド(ヘルムート・バーガー)らを引き連れ、邸の二階に強引に住みついてしまう。

平穏だった教授の生活はかき乱されいくが、それまで孤独だった教授の心には少しずつ変化が起こり始める。

【感想】

「午前十時の映画祭12」にて。1974年のイタリア・フランス合作映画。『ベニスに死す』(1971)で有名な巨匠ルキノ・ヴィスコンティの作品です。芸術寄りの映画で、好みは分かれそうだなという印象でした。日本では監督の死後、1978年に公開されてヴィスコンティ・ブームが起こったらしいですが、、、あんまり大衆娯楽っぽい感じではないので、正直ホンマかいなって思ってしまいます(笑)

<傍若無人すぎる家族にイライラ>

この映画、とにかくビアンカ夫人率いる家族の無礼で愚かな態度が始終気に入りませんでした。教授の家の上の階を貸してくれとしつこくしつこく迫るんですから。家政婦と静かに暮らしていた教授は何回も断ってるんですよ。しかも絵画が趣味でいろいろコレクションもされている方。僕も割とコレクター気質なので気持ちはわかりますが、他人にはあまり土足で上がり込んでほしくないんですよね、精神的に。だから、どこの馬の骨ともわからない、それでいて上から目線なおばさんから、いきなり部屋を貸してくれと言われてもなあって感じです。

ところが、あれよあれよという間に結局貸すことになっちゃうんですよ。で、実際に住むのは夫人の愛人やら子供たち。しかも、賃貸契約が完了していないのに、当初の話とは違う部分まで改装を始める始末。さも当然のように教授の家に出入りし、家政婦も勝手に使い、「お腹すいたー」という身勝手な振る舞いの数々。音楽はうるさいし、素っ裸で踊っているし、普通にただの迷惑クソ野郎たちでしたね。こんな人が近隣にいたら、今なら間違いなく通報され、訴訟にまで発展するでしょう。いや、させたいです。そもそも夫人たちはどういう経緯で教授の家を見つけたのか、どうしてそこまでしてこだわるのか、そこはイマイチわかりませんでした。。。

<孤独に勝てなかった教授>

でも、教授は文句を言いつつも、なぜか受けて入れてしまうんですよ。観ているこっちがイライラするぐらいの傍若無人っぷりなのに。本気で嫌ならもっとちゃんと拒絶したはず。それなに受け入れてしまった理由とは。最初はお金があるがゆえの余裕なのだろうかとも思ってました。やっぱりお金がある人は心にゆとりがありますよ。でも、最後まで観て思ったのが、教授は孤独に勝てなかったんじゃないかということ。ずっとひとりで暮らしてきて、いくら迷惑な人たちでも、孤独でい続けるよりは人間らしい生活ができていると感じたのかもしれません。その証拠に、最後には「家族だと思うようにした」と言うシーンがあるんです。家族だと思えば、どんな迷惑でも受け入れられると。他人を頭ごなしに拒絶するより、考え方を変えて彼らを受け入れる方を選んだわけですね。まあ、明確に孤独を嫌がる描写はないんですが、回想シーンで自分の母親や妻が出てくるので、家族というものに少し思い入れがあったのかもしれません。他人と触れ合う時間も欲しかったのかもなんて考えたら、この教授の哀愁漂う雰囲気がより一層強く感じられました。まあ、あの家族は何を言っても聞かなそうなサイコパス感があってあきらめた可能性もありますけど(笑)

<そんなわけで>

淡々と進む映画ではありますけど、そこで繰り広げられる人間模様が興味深い内容でした。コンラッドを演じたヘルムート・バーガーが、ちょっとユアン・マクレガーに似ていると思ったのは僕だけでしょうか。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?