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ラスト20分のほぼライブビューイング状態にhideを感じて号泣した『TELL ME ~hideと見た景色~』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:14/107
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★×20
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

  製作年:2022年
  製作国:日本
   配給:KADOKAWA
 上映時間:111分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記映画、音楽
元ネタなど:hide(1964-1998)

【あらすじ】

1998年5月2日、X JAPANのギタリストとして、ソロアーティスト(hide with Spread Beaver/zilch)として活躍していた、日本を代表するロックミュージシャンhideが急逝。葬儀には約5万人が訪れ、日本中が早すぎる別れに涙し社会現象に。制作途中だったアルバム、そして既に決定していた全国ツアー、hideの音楽を世に届けたい。hideのマネージャーを務める弟・松本裕士(今井翼)は、兄の意志を形にすべく、hideと2人で楽曲を制作していたhideの共同プロデューサーI.N.A.(塚本高史)ら仲間たちと共に動き出す。

hide本人不在という異例の状況下で奮闘する裕士とI.N.A.だったが、彼らの前に様々な困難が立ちはだかる…。

【感想】

よく覚えています。hideが亡くなったときの連日の報道。通夜と告別式に集まったとてつもない数のファン。中には泣き崩れ、霊柩車が出発したときには泣き叫びながら追いかける人もいたほど。「とんでもないアーティストだったんだな」と思いました。

もともと僕はヴィジュアル系はほとんど聴かなかったので、当時はX JAPANすらもよく知りませんでした。アニメ映画の主題歌だった『Forever Love』がわかる程度で。なので、そこからソロ活動を始めたhideについても、「ピンク頭で派手なファッションの人」ぐらいの認識だったんですよ。ただ、そのとき仲のよかった友達がみんなhideを聴いていたのをきっかけに、彼の歌をよく聴くようになりました。

<hideが亡くなったその後の物語>

ちょっと自分の話が過ぎましたね(笑)本作は、そんなhideの亡き後、アルバムとツアーを実現させるべく奔走した弟・裕士とhideと共同プロデューサーだったI.N.A.を中心としたメンバーやスタッフたちの苦悩を描いた映画です。そう、hideがhideになるまでを追ったよくあるような伝記映画ではないので、実はhide自身の露出はそこまで多くありません。弟の回想シーンにちょいちょい出てくるぐらいですね。

でもよかった、、、すごくよかったんですよ!世代ドンピシャゆえの贔屓は承知の上ですが、これは観てよかったです!hideが亡くなった後、家族やメンバーがどういう状況だったのか、何を思っていたのかがフィクションながらも知れたのは実に有意義でした。

<残されたものたちの苦悩と未来>

残された人って、亡くなった人に対して後悔ばかりが浮かびますよね。「何であのときああしなかったんだろうか」、「こうしておけば死ななかったんじゃないか」って。僕も大往生した祖父母に対してですらよく思いました。だから、人気絶頂のときに33歳の若さで亡くなった人に対してなら、より一層強くそう感じるかもしれません。

hideを部屋まで見届けなかった後悔の念や、心ない人々から届く誹謗中傷の嵐。アルバムもツアーも中止となり、希望が見えない状況に陥り、自ら命を絶つことが頭をよぎる裕士。I.N.A.もまたhideを失った悲しみから、同じように自殺を考えてしまいます。ここは観ていて辛いところでした。

けれど、ふとしたことをきっかけに再び創作活動を始め、やっとのことで出来上がった1曲がレコード会社重役の心を動かし、事態は急展開へ向かいます。「hideがやりたかったことをみんなでやろう」と話が前向きに進むようになります。見方によっては残された人たちのエゴとも捉えられるかもしれません。でも、もしhideがあのまま生きていたら、アルバムは出し、ツアーも必ずやり遂げたでしょう。それを残された人たちの勝手な思いでなしにしてしまうこともまた、エゴかもしれませんね。正しい未来へと向かう姿は素直にうれしいと感じました。

ちなみに、よく知らなかったんですけど、I.N.A.のこだわりってすごいんですよ。同じパートを何回も何回も何回も何回も繰り返して、クオリティをとことん追求する姿勢。あまりの繰り返しの多さに、メンバーも辟易するほど(笑)でも、それゆえに後世に残るhideの楽曲が誕生したと言えます。

<興奮と感動のラスト>

そしてこの映画最大の見せ場がラスト20分です。hideはもういませんが、映像によって彼を復活させるという前代未聞のやり方で、大ヒットした名曲たちを当時の映像も交えながらのライブシーン!まるでライブビューイングのようで、感極まって涙ドバドバ出ました。それまでのドラマパートは淡々としていましたけど、すべてはこのラスト20分のためにあったってことですね。最近では洋画においてアーティストの伝記モノが増えていますけど、日本だって素晴らしいアーティストはいっぱいいますから、もっと増えてもいいと思うんですけどね。

<そんなわけで>

これもっと大々的に公開してもいいと思うんですよね。上映しているところが少ないのが謎です。でも、ラスト20分のためにぜひ劇場へ足を運んでいただきたいです!これはもう絶対映画館で観たいやつなので!特にファンや世代だった人にとってはエモさ大爆発!hideを感じて興奮と感動の渦に巻き込まれてください!!

「死ぬ気でやれよ。死なねぇから」 by hide


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