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雪代縁のハマりっぷりに悶絶する『るろうに剣心 最終章 The Final』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:3/76
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

アクション
超絶ハイスピード殺陣
マトリックス×チャンバラ
週刊少年ジャンプ
るろうに剣心

【あらすじ】

かつて<人斬り抜刀斎>として恐れられ、激動の幕末を刀一本で戦い抜いた男、緋村剣心(佐藤健)。新時代を迎えた今は、仲間たちと平穏な日々を送っていた。

ある日、東京が何者かに攻撃され、次々と大切な人々が襲われた剣心は、次第に追い詰められていく。憔悴しきった彼の前に現れたのは、あの志々雄に武器や軍艦を送り込んでいた上海マフィアの頭目・雪代縁(新田真剣佑)。

剣心の<十字傷の謎>を知る彼こそが、剣心自らが生み出してしまった最恐最悪の敵だった。剣心に強烈な恨みを持ち、剣心だけではなく<剣心が作った新時代>をも破壊するため<人誅>を仕掛けてくる!

すべてを悟った剣心は自らの責任とし、薫や仲間たちを集め、自分の過去を語り始める。<かつて結婚していたこと>、そして<自らの手で妻を斬殺したこと>。今まで語られることのなかった衝撃の過去に仲間たちはショックを受ける。

その矢先、遂に縁による東京への総攻撃が開始され、一瞬で修羅場と化す。そして、縁の復讐の刃は神谷道場の仲間たちにも容赦なく向けられていく。

逃れられない運命を背負い、愛する者のためすべてをかけて立ち向かう、究極の戦いが始まる。

【感想】

朝イチでキメてきました!いやー、これはもう邦画の宝でござるな。『るろ剣』は原作もアニメもすごく好きだったので、ちょっと長くなっちゃいますけど、想いの丈をぶちまけてしまいますね。

<やっぱりすごい超絶アクション>

この映画の見どころと言えば、目にもとまらぬ速さで展開していく超絶ハイスピードバトルですよね。これはシリーズの第1作目からそうでしたけど、日本の誇る殺陣を、よくあそこまで昇華させることができるなと。

で、なんでこの殺陣がすごいのかってずっと考えていたんですけど、その答えを、大友啓二監督がおっしゃっていました。間合いだと。これ、過去作の3週間限定リバイバル上映のときに、本編が始まる前のインタビュー映像でおっしゃっていたんですが、刀の間合いじゃないんですって。普通に格闘するときの間合いだそうで、それをチャンバラでやったらどうなるかっていうのをアクション監督の谷垣健治さんに投げたらこうなったと。

あとは、けっこう狭いところで戦ってるってのもあると思うんですよね。壁や障害物を使って、所狭しと駆けめぐるから、より迫力が増すのかなって。

今回もまさにそれが生かされていて、1対多数の戦いは、『マトリックス リローデッド』のネオ vs 無数のスミスを思わせる戦いっぷりでしたし、最後の雪代縁との戦闘は、まわりのものを壊しまくりながら戦うので、それだけで迫力が段違いに増すんですよ。破壊力がとてつもないんだなっていうのが伝わってくるんですよね。

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(映画公式サイトより)

<雪代縁を演じた新田真剣佑のすごさ>

で、雪代縁を演じた新田真剣佑さんのハマりっぷりが凄まじくて。もうね、彼の両親に感謝ですよ。真剣佑を生んでくれてありがとうと。結婚式でたまに新郎が新婦の両親に対して、「〇〇さんを生んでくれてありがとう」とかって言いますけど、まさにそんな感じです!剣心を演じた佐藤健さんとの年齢差的にもほぼドンピシャですし。

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(映画公式サイト、およびコミックス18巻より)

姉を殺された恨み、悲しみ、剣心からすべてを奪ってやろうとする執念の塊っぷりは、想像以上の好演で、彼なくしてこの映画は成立し得なかったと思います。この映画はどの配役もピッタリだと思いますが、雪代縁は格別でしたね(ちなみに、僕の中では、浦村署長の奥さんと娘さんの再現度の高さもツボでした)。

ただ、、、

<原作ほどの気持ちの盛り上がりはなかった理由>

今回の映画は、原作で言うところの『人誅編』を扱っていますが、原作と比べると、ちょっと内容が薄かったかなという印象は否めませんでした。

この『人誅編』で一番肝となってくるのは、「剣心の苦しみ」と「そこからの脱却」かなって思っています。原作では、薫を救えなかったことで心が壊れ、一旦は刀を置いてしまうんですよ。でも、剣心の中の真実である「弱き人を助ける」という想いは捨てきることができませんでした。だから、どんなに小さくても助けを求める声は必ず届き、その声に応えるべく再び立ち上がる姿は、涙なしには読めないエピソードです。

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(コミックス25巻より)

僕は『るろ剣』全編通して、そこが一番好きなお話なんですよ。物語の主人公の心が壊れて、でもそこからまた立ち上がってっていう最大の見せ場ですから。映画版では違う展開なので、感情の動き的にはそこまでは届かなかったかなあ。

そもそも、志々雄が出てくる『京都編』と分断されてしまっているので、仕方ない部分はあるんですよ。志々雄一派との戦いを経て、左之助は斎藤一を超える決意をし、弥彦は強くなることに執念を持ち、恵は剣心への想いを断ち切るという、本来あるべき各キャラそれぞれの"前進"の過程がないので。中でも、弥彦については映画シリーズ全編を通じて扱いが少ないので、個人的に寂しいところでもあります。

<明神弥彦の扱い>

そう、映画版での弥彦って、ほとんどおまけに近いんですよね。だから、原作ではすごくいいキャラで、特に『人誅編』においては、剣心のエピソードと並んで心を打つエピソードの持ち主なのに、それが描かれていないのはちょっと残念なところでもあります。

彼は子供ながら、日常的に一流の剣客たちを目の当たりにしていることもあってか、自分も強くありたいと常に思っているんですよね。その想いは『京都編』の頃からより強くなってきて、この『人誅編』で爆発するんです。いつまでも剣心や左之助にばかり頼っていられない。自分ひとりでも人々を守れるようになりたい。それが、鯨波兵庫が脱走して町で暴れているときに行動として表れるんです。次世代のヒーローと言いますか、剣心の後を継ぐものの登場ですね。

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(コミックス25巻より)

今回も、「強くなりたい」というところは、薫(武井咲)の口からポロっと語られているものの、それ以上でも以下でもなかったので、次につながらないんですよ。まあ、尺も限られているので仕方ないんですけどね。

『るろ剣』は、剣心を扱いながらも、弥彦の成長譚でもあるのは、推しておきたいポイントです。

<そうは言っても面白いことに変わりはない>

今回の映画は、いろいろ削られてしまったところをカバーして有り余るほどの超絶アクションがありますし、原作にはない展開で非常に興奮するところもあるので、ものすごく楽しめる作品であることに間違いはないです!!ぜひIMAXで観て欲しいですね!!

『The Beginning』は剣心の過去を扱った物語だそうです。それを観たら、今回の映画もまた感じ方が変わりそうなので、今から非常に楽しみです。


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