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世界幸福度ランキングNo.1のフィンランドでなぜ?!たったひとりでツルハシ1本を手にナチス軍をグチャミソにしていく孤高のバイオレンスアクション『SISU/シス 不死身の男』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:51/151
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Sisu
  製作年:2023年
  製作国:フィンランド
   配給:ハピネットファントム・スタジオ
 上映時間:91分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:なし

【あらすじ】

※公式サイトの文章を元に記載。
1944年、第二次世界大戦末期、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。凍てつく荒野を旅する老兵アアタミ・コルピ(ヨルマ・トンミラ)は、愛犬ウッコを連れ、掘り当てた金塊を運ぶ途中で、ブルーノ・ヘルドルフ中尉(アクセル・ヘニー)率いるナチスの戦車隊に遭遇し、金塊も命も狙われるハメに。

アアタミが手にしているのは<ツルハシ1本>と<折れない心SISU>だけ。それでも、戦場に落ちている武器と知恵をフル活用し、ナチス戦車隊相手に、機銃掃射を浴びても、地雷原に追い込まれても、縛り首にあっても、挙句の果てに戦闘機にツルハシ1本で食らいついても、絶対に死なない!彼こそは、かつてソビエトとの冬戦争に参加し、家族を殺された報復として、たったひとりで300人ものソビエト兵を殺した<伝説の兵士>だった。

アアタミはいかにして戦い、そして生き抜くのか――。そして、アアタミの目的地とは――?

【感想】

マッドマックス』×『ランボー』という謳い文句に惹かれて観に来たら、何これ想像以上に面白いじゃないすか!!『ジョン・ウィック』のスタジオが贈るというだけあって、たったひとりの老兵が敵をフルボッコしていくのが痛快なバイオレンスアクションでした!!

<観るだけですべてがわかるぐらいシンプルな映画>

正直、ストーリーはあってないようなものです。物語の前提となる話もなければ、セリフらしいセリフもほとんどありません。「映像を観てすべてを悟れ!」ってぐらい観客にぶん投げている振り切り方が逆に好印象なんですが、それぐらいシンプルな作りなんです。主人公のアアタミが掘り当てた金塊を銀行へ換金しに行く途中で邪魔してきたナチス軍をボッコボコのグッチャグチャにしていくだけなので。

<たったひとりですべてを解決できちゃうチートじみた強さ>

この映画の最大のウリは、何と言ってもアアタミのチートレベルの強さでしょう!敵はナチス軍で戦車や機関銃など、一通りの武器は揃っています。一方のアアタミの武器はツルハシ1本のみ。厳密には、敵から奪った銃や落ちている地雷なんかも使っているんですが、自前のものはそのツルハシだけです。それだけでナチス軍に立ち向かっていくのはもはや勇気ではなく無謀とさえ感じます。でも、そんなの彼には関係ありません。実は、彼の正体は元フィンランドの特殊部隊員で、家族を殺された復讐にと、かつてたったひとりでソビエト兵を300人殺したという逸話を持つ人物。その恨みの強さゆえに決して折れない心を持っているため、どんな敵にも果敢に立ち向かっていけるのでしょう。そこに『ジョン・ウィック』シリーズのような洗練された格闘や銃撃戦なんてありません。ただひたすら、目の前にいる邪魔者の命を荒々しく奪っていくのみです。なので、スプラッター映画のように頭や四肢がポップに吹き飛ぶんですが(笑)

劇中に、ナチス軍に捕らえられた捕虜の女性たちが登場するんですが、その中の一人が、「彼を怒らせた時点で、あなたたちはもう死んでいるの」とナチス軍に言い放つシーンも痺れましたね!『北斗の拳』(1983-1988)かよって(笑)でも、アアタミのあのしぶとさは、ケンシロウを彷彿とさせる部分もありましたね。

<監督と主演がまさかの身内>

あと、この映画でウケるなと思ったのが、アアタミを演じたヨルマ・トンミラはヤルマリ・ヘランダー監督の義理の兄で、しかもヨルマの息子も出演しているという身内感ハンパないところです。そんな監督は、幼い頃に『ランボー』(1982)を観て衝撃を受け、本作もそれにかなりインスパイアされているとのこと。小さい頃に描きたかった世界を実現させるという、少年がそのまま大人になったような人柄も素敵ですね。インタビュー動画も面白いのでぜひご覧ください。

<そんなわけで>

世界幸福度ランキングNo.1のフィンランドから、まさかこんな血だらけで不幸まみれの映画が生まれるとは思いませんでした(笑)強すぎる主人公がたったひとりで敵をブチのめしていく構図は洋画ならではなので、ぜひこの痛快なバイオレンスシーンを映画館で観てほしいですね。続編に期待です!


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