見出し画像

心を揺さぶる作品には、どんな理屈もかなわない。

こんばんは。
アートでまち中を彩りたい、新卒1年目ワダです。
今日も前回の続き、アートフェア東京と作品購入のその後について書きたいと思います。
前回の話は、こちらから。

はじめての作品購入に、気分が爆上がりの僕。作品を1つ購入すると、購入に対するハードルが一気に下がって、アートフェア東京でも気にいるものがあったら買おう!と意気込んで参加。果たして、またまた運命の出会いがあるのでしょうか。

2019年3月9日
アートフェア東京

実践編第3弾は、アートフェア東京。率直な感想は、威厳がすごい。3331のアートフェアは職員さんたちがみんなで作り上げたって感じが強くて、なんかアットホームな感じがあったけど、アートフェア東京はちょっと背筋が伸びる感じ。お金もかかってるなぁって感じでした。そんでもって、会場がバカでかくて、1日中観て回っても観終わらないくらい。チケットが当日券で¥5,000もして、めっちゃ高いな〜と思っていたけどそれだけの価値はあるかも。とにかく作品を観まくる、というインプットをしたかった自分にとっては夢の国でした。
作家さんやギャラリスト、大学などがブースを作って出展していた3331に比べて、アートフェア東京はギャラリーが作品を出展している。勢いのあるギャラリーをチェックしたり、知らなかったギャラリーを知ったりすることができるから、そういう意味でも参加できてよかった。価格帯も3331よりこっちの方が高め。各国のコレクターらしき人もチラホラ。
4時間くらいかけて一通り観て回ったのだけど、今回はグッとくる作品には出会えなかった。(正直に言うと、1点浜田浄さんという作家さんの作品がグッときたのだけど、100万円越えだったので全然無理だった...笑)


でもちょっと面白い話をゲットした。日本では、100万円までの作品か1,000万円以上する作品しか売れないんですって...!中間層の作品はめっきりらしい。理由は、日本のコレクターの多くが投資目的だったりもするため、100万円以内の作品を買って値上がりを狙う。投資目的でないコレクターは、もう有名になりきった作家の作品を購入するから、1,000万円を超える作品を購入する。こういうことらしい。だから、中間層の作品は海外のアートフェアで値上げさせて、有名になったタイミングで改めて日本で売るんですって。なんか少し寂しい感じですね...。
そう言われれば、我らが東京画廊もあまり高い作品は出展してなかったなぁ。会に合わせて価格帯も調整しているということか。商売だから仕方ないけど、「これがうちのギャラリーが誇る最高傑作だ!」みたいな作品が並びまくってるアートフェア行ってみたいな〜。スイスのアートバーゼルかな。

そんなことで、全6回に及んだ「働く人のためのアートの買い方を学ぶ会」は全てのプログラムを終えた。実際は5月頃に、購入作品の発表会があるのでそこが最終回なのだが、勉強会としては一旦終了。満足度500%の最高の会でした。終わってみると、自分の「アート」の見方が確実にアップデートされている感覚があって、とても良いです。そんな中で、僕はあることに気づきました。

あんなに投機対象として、という文脈で勉強してたのに、結局自分が買った作品は最も感情が揺さぶられたもの、だった。

はじめての作品購入&お金がないからなのかもしれないけど、やっぱり「買う」ってなったら値が上がるからってだけの理由じゃ無理だ。それ以上の何か、心を揺さぶられる何かがないと買えない。さらに言えば、そんな作品と出会ったらいくら値が上がっても多分手放す気にならない。アートにお金が払われる文化をつくりたいと思っている僕としては、重要な購入者のマインドを手に入れることができたと思っている。
実際、僕が購入した村上早さんは、翌月の芸術新潮で5ページの特集を組まれていたり、上田市の美術館全体で個展をしたり、これから値が上がっていくだろうと思ってはいるものの、作品を手放す気はさらさらない。もしかしたら、この感情がどこかのタイミングで変わるかもしれないけど、それならそれでまた重要な購入者のマインドを得られるってだけなので、総じていろんなことがわかってくると思っている。

ただ、アート初心者の僕にとって、自分の感性に従う、ということに一抹の不安があった。だって知識ないし、作品たくさん観てきた訳でもないから、そんな自分の感性なんて信じるための要素が足りなすぎる。だけど、そんな不安必要ないと知らせてくれた本と出会えた。

最終的には、あなたの生き様に何もおよぼさないのであれば、どんなに価値が高いとされている芸術でも、ほんとうのところは粗大ゴミも同然なのだ。
別の言い方をすると、芸術家にとって、見る者の感性の優位には残酷なところがある。作り手が、自作の価値の源泉をできあいの知識や履歴に頼れなくなったとき、作家は丸裸にされてしまうからだ。

(「感性は感動しない」椹木野衣 2018 より引用)

自分の素直な感情に従って良いのだ。というより、本質的にはそれしかできないはずだ。それ以外の部分に「価値」はない。この意味でも、僕は今回の勉強会で間違いなく最高の作家と出会えたと思う。本当によかった。
「感性は感動しない」に関しては、また別で書評を書きたいと思う。

さて、これで勉強会の全プログラムを終えたわけだが、僕のアートに対する考え方や業界の構造理解などあらゆるものがアップデートされた。この上で、アートでまち中を彩るためにワダは何をするんだい?ということを、書きたいのだが、今日も疲れたのでまた明日書くことにする。

それでは。

| 気になる展示のコーナー |
昔から家具が大好きで、コルビジェも大好きな作家のひとり。絵画の側面を全く知らないので、コルビジェの思想を感じたい。

ル・コルビジェ 絵画から建築へーピュリスムの時代
世界遺産の国立西洋美術館で、「ル・コルビュジエ」の原点を観る。
20世紀建築の巨匠ル・コルビュジエ(1887-1965)が設計した国立西洋美術館本館は、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。開館60周年を記念して開催される本展は、若きシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエの本名)が故郷のスイスを離れ、芸術の中心地パリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点をあて、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面にわたった約10年間の活動を振り返ります。
(以上、HPより引用)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?