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海に行った話

久しぶりに海岸のある海へ行った。
海って風がベタベタするし、日差しが強くて疲れるし、あんまりいいイメージがなかった。
だけど、歳を重ねたからかなのか、ずいぶんと違った印象を受けることができた。

海が太陽を反射してキラキラと揺れ動く光にうっとりした。
ビルのない空を見たのが久しぶりだった。
夏になる前の適度な暖かさで、風が気持ちよかった。
胸の中でぎゅっと凝り固まっていた鉛みたいな重たいものが解放されるような思いだった。
都心で生活しているとそれに慣れきってしまっているから気が付かなかったけれど、自然を心のどこかで欲していたのだろうか。

波が押し寄せる音、風が髪の毛を揺らして、トンビは空高く飛び回り、横ではBBQで盛り上がる老若男女、複数のヨットが海に浮かび帆が風に揺れる、砂浜に足を踏み入れたときに靴がズルズルと沈みこむ感覚、海藻を一枚一枚丁寧に広げて干している漁師さん、犬が砂を一生懸命掘って遊んでいて、子供がカニを捕まえてバケツに集めている・・・
別になんてことないありふれたことなんだけど、なぜだか新鮮さを感じた。私にとっての非日常空間である海での出来事は、すべて特別に変えてくれるのかもしれない。

丁寧に目の前のことに注視することができるから、「今」を生きている実感がした。
それぞれがそれぞれの時間を楽しんでいる。
悩んでもどうしようもない過去のことや、起こるかもわからない未来のことにくよくよするのではなく、今起きていることを大切に噛み締める感覚を体感できた。

また海に行こう。


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