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わき汗おもいでぽろぽろ ❶ 【黎明期】



2020年 クリスマスの翌日、わたしは夫と幼子をのこして遠く離れた地方で、汗腺を除去する手術を受けていた。



30歳をむかえた女が、脇汗共存ライフとサヨナラするまでの18年間の小話。

どうぞお付き合いくださいな。




は?  [小学生編]


2002年 小学6年生の夏、塾友だちと二人で夏祭りの道を歩いていた。太陽は西に落ちかけていて、8月の夕方はそれでもとても暑かった。メインストリートを物色してから「どうしようね〜」なんて露天もすくない通りを歩いていると脇からから水が垂れてきてるではないか。

What the fuck 

タンクトップを着た脇の下から止めどなく汗が垂れてきて驚いた。最初は汗だなんてみじんも思わずなにかの間違いかと放っておいてが、これは汗以外のなにものでもない。12年生きてきてこんなことは初めてだった。財布しか持ってきていなかったわたし。隣で友人は涼しい顔で好きな人の話をしている。自分はとりあえずコレ拭かないといけん。

「コンビニ行こ!」とすぐそこのセブンイレブンでミニタオルを購入して、友達に隠れてトイレで拭いた。

そのあとも拭いても拭いても出てくる。そして、青色のタンクトップの脇と接する部分はもっと青くなっている。なにこれ。

その日から、怖くてタンクトップを着るのをやめた。
きっとタンクトップだったからだ。

と思ったらそうでもない。「脇汗の異常」に気づいてから脇に注意をそそぐ生活になった。袖ありTシャツでは、吸収して滴ることはないけれど、汗をかいた分だけ濡れて変色する。12歳のわたしは本能的に恥ずかしさをおぼえたのだった。


わき汗たいさく黎明期  [中学生編]


中学生になって、制汗剤というものを初めて購入した。

夏祭り事件が起こる前から、ドラッグストアにいくと色とりどりの缶が並んでいることを知っていた。けれど「そういうものもあるらしい」と自分には無関係のアイテムだと思っていたんだ。この制汗剤というアイテムの18年来のロイヤルカスタマーになることを、この時はまだ知らない。

おじいちゃんに千円札をもらって車で待っててもらい、わたしは好きな香りを選んでかった。レモンとか、フローラルとか。大人になったみたいでホクホクした。
そして脇の妙なニオイも、それをふりかけるとマシになった。


そうだ! 脇汗問題には《多汗》か《わきが》かという二者がある。
わたしは 3 : 1 で多汗に悩んでいた。もちろんニオイにも悩んだ。脇に汗をかくことは、動物として当たり前の生理現象。けれどわたしを含め多汗持ちの人は、冬でも滴っていると思う。寒いのに、腕をつたってツーっとたれてくる。


さて、わたしはテニス部だった。主に先輩たちが使える部室が並んでいる棟では活動後に「シューーー」という制汗剤の音がどの部からも聞こえること茶飯事。

汗ってもんはクサいんだな。みんな汗をとめるためにシューしてるんだ。よかった。

と、皆が通る道だと思っていたけど自分のそれは趣が異なると徐々にわかってきた。

何がちがう?


❶ 白い体育着は いつの日か脇の部分がうっすら茶色くなる
❷ なんなら夏服の白いYシャツも茶色くなりがち
❸ 友人 ワキ濡れてないのなんで!?


ありがたいことに、わたしは全く鈍感ではない。むしろ神経質で六感が相当に鋭敏だ。(その敏感さゆえ汗問題からの心の不具合につながるのだけどその話はまたあとで)

わたしは学校では謂わゆる「イケてるグループ」側に所属していた。自分も友人と同じくイケていたいゆえに このワキ事情を如何様にしても隠し続けるという、自分内ミッションがあった。中学生なりに一生懸命じぶんでできる対策をした。

休み時間ごとのトイレで制汗剤。体育着やYシャツは自分で念入りに手洗い。茶色が隠しきれないほど濃くなろうなら「古くなったから」と親に頼んで新品を買ってもらった。


自分と他者のカラダの体質の違い。それを知らしめられ人と比べ葛藤した3年間。



驚いたのが、親に相談してみたところ「お母さんも夏になるとワキ濡れて、子供たち(*)に言われるよ」と、あっさり。
(* 親は小学校教諭っす)




え、あなたそこなんとも思わないの?
わたしだったら恥ずかしさで布団に引きこもって泣いてしまうよ。と思った。

(※ そもそも汗をかくことは当たり前のこと。けれどこのころには 脇染み=恥ずかしい=最も触れられたくないコンプレックスと凝固していた。もう病的だね。)


ちなみに親のことはクサイとも一度も思ったことはない。
あとから聞いた話だが、母親は幼少期に足の皮がむけるほど足汗で悩んだらしい。学校で他の子供たちが上履き(?)をはいているなか、母だけ学校の許可をもらってサンダルで過ごしていたそうな。




ん〜・・・ジメッとした雰囲気になってしまいましたが、脇汗という十字架を背負いつつも中学時代は楽しかったですよ。悪友と部活で笑い転げたし、彼氏もできたし、はたからみたら普通の女子中学生ですね。




次回は ▶︎ わき汗おもいでぽろぽろ【処世術】
わき汗を「引き寄せいない法則」について書きますww

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