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働き方改革と生活残業

【ラジオ体操180日目】

こんばんは。
自分が心から正しいと思うことは、誰が相手であっても伝えてしまう性格なので、いつまで経っても組織に馴染むことができなかった社会不適合者のコマリストです。


今日は『労働時間と生活水準』というテーマで書いていきたいと思います。


2020年から中小企業も含めて対象となった『働き方改革』ですが、例のウイルスによって、良くも悪くも一気に改革が進んで、急にDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例みたいなものがたくさん出てくるようになりました。


とはいえ、実際の中小企業の現場では、『残業』と日々戦っている企業がまだまだあるというのが実態だと思います。


経済的な意味でウイルスの影響が落ち着いてきているため、仕事の量が例年並みに戻りつつある中で、『働き方改革』が一種の足枷になりつつある現状をどう乗り越えていくのか。


正直、この1年あたりで、(無理に法律に合わせようとして)たくさんのサービス残業が生まれる気がして何だか暗い気分です。


前置きが長くなりましたが、今日は数少ない友人のN君と話した話題がなかなか面白かったので、自分なりに今の時点での考えを整理しておきたいということで、少しだけ堅苦しい話を書きます。

残業時間を減らしたい企業

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N君が勤めている会社では、恒常的に残業が発生しているそうで、このご時世では良いことだなと思いつつも、抱えている問題について話を聞いてみました。


この会社のとある部署に所属しているN君は、いわゆる「中間管理職」。部下が何名かいるチームのリーダーで、同じ立場の別チームが4つ存在して、一つの課を形成しています。


このN君が所属する課に対して”会社側”から1つの命令が下されます。

それは、
”今年度の平均残業時間を「11時間」に抑える”というもの。


現状は、チームごとにかなりバラつきがあって、課全体を平均すると30時間前後の残業が発生しています。


この会社からの命令をどうやって実現するのか?というのが、N君の悩み。


N君のチームは、積極的に作業改善やデジタルツールの導入を進めてきたため、4つのチームの中では残業が少なくて生産性が高いチームです。


実際、現時点でのこのチームの平均残業時間は14時間程度。あと少し頑張れば手が届きそうな数字ですね。


ただし、会社からの命令は”課全体の平均残業時間”を11時間にすることなので、N君のチームだけが達成しても、他のチームの結果によっては未達に終わる。


非常に厄介なのは、4つのチームのリーダーの中で、N君が圧倒的に若年であるため、他のチームのリーダーに対する影響力が小さく、単純にN君のチームの事例を水平展開したらいいというわけにもいかないということ。


さて、具体的な対策を考えてみようかなと深堀りしてみると、致命的な問題があることに気がついてしまったんです。

致命的な問題

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さて、致命的な問題とは何なのか?


それは、
”恒常的な残業体質が生み出した「生活残業」を是とする文化”


生活残業って何?という方もいると思います。
一言で言えば、”生活費を得るためにする本来必要のない残業”


こうやって説明してしまうと、ほとんどの人が「それは無駄なものだ!」「そんなのは悪いことだ!」と言ってしまいそうですが、いざ自分ごとになるとそうも言っていられないという人がいるのも事実です。


例を挙げると、
基本給が30万円、その他諸々の手当てを含めて手取りで40万円をもらっているとします。


この40万円は5年前に昇格した時から毎年の昇給で微増してはいるものの、かなり安定しているので、この金額をベースに自動車ローンを組み、住宅ローンを組んでいる。


さて、この40万円。もちろんですが「残業手当」を含んでいて、毎月の残業時間が40時間程度(2時間/日)なので、手当の金額としては10万円です。


この状態で、会社からの命令で、”毎月の残業を10時間にしなさい!”と言われたとしましょう。


すると、当然ですが残業手当30時間分である75,000円がなくなるので、手取り額は32万5千円になります。


毎月40万円をベースに生活を組み立てていた人が、32万5千円で生活していけると思いますか?


答えはNOです。


人は、生活水準を上げることは簡単にできますが、下げることは難しい生き物です。だから、宝くじに当選すると人生が壊れる人が続出する。


さて、ここまで読んでくれた方に質問です。
生活残業は悪ですか?

企業の姿勢と副業解禁

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こういったケースの場合、本気で残業時間を削減したいのであれば、企業の側から社員への歩み寄りが必要となります。


今の状態は、
会社の目標だから、頑張って残業時間を減らして下さい。ただし、頑張れば頑張っただけ給料は減ります。


という状態なんですよね。
これでは、命令を受ける側の社員の士気も上がりようがないと思いませんか?


ということで、社員に残業時間を減らすように指示するのであれば、

①頑張って残業時間を減らして下さい。ただし、目標残業時間が達成された場合には、新たに〇〇という手当てが設けられます

②頑張って残業時間を減らして下さい。削減できた残業時間分の給与は全て社員に還元します

③頑張って残業時間を減らして下さい。手当てが減少するので、当社は副業を解禁します

こういった具合に、社員側の気持ちに歩み寄った対応が必要ですよね。


そして、これが大手企業が軒並み副業を解禁しているからくりだと思います。


会社側は会社としての都合で物事を決めるのではなく、そこで働いている社員がいるから会社が成り立っているということをしっかり理解して、何か手を打つ際には、社員側の感情面を考慮した手もセットで打っていかないとですよね。


はい。なんだかものすごくお堅い話になって申し訳ないです。
明日からはライトに戻りますので、お許しくださいw

じゃ、またね!

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