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【読書録79】致知2023年3月号「一心万変に応ず」 感想

 本日は、3月11日。あの東日本大震災から12年である。
月日が経つのは早いものであり、その後のコロナ禍のことを考えると、時代の変化というのも感じるものである。
 そのような心情にふさわしい、特集テーマ「一心万変に応ず」である。

総リード  一心万変に応ず

 
「一心万変に応ず」初めて聞いた言葉であった。
安岡正篤師はこの言葉についてこう述べられているという。

人間世界のことは色々様々で、いわゆる万変で際限がない。ことに人生の出来事というものは矛盾衝突が多く、なかなか思うようにいかないが、そういう時に一応自分の心ができておるといかなる変化が生じても何とかやっていける。それが”一心万変に応ず”ということだ。

自分の心さえ調い定まっていれば、また養っていれば、人生のどのような変化にも処していける、という教えだと解説する。

人や外部環境を変えようと思っても変えられない。変えられるのは自分だけとよく言うが、そのような事を思い起こさせる格言である。

人生の万変に応ずるためには、心を開いていく必要があるとして、松下幸之助氏の言葉を紹介する。

「心を開けば宇宙広大に広がり、心を閉ざせば最後は自殺にまで追い込んでしまう。」

自分の心を調えつつ、開いていく。なかなか難しいが、本当に心が調い定まっていれば、万物を受け入れられるのかも知れない。

鼎談 心の力をいかに高めるか

 
 數土文夫氏、鈴木秀子氏、横田南嶺氏の鼎談記事。致知でなじみ深いお三方だけに、話が広がりまた奥深いものがある。

 數土氏の日本に対する危機意識から話は始まる。

変化の激しい時代に休んではいけない。大切なのはスピード遅くても継続し、途中で中断しないと説く。

JFEの副社長時代から、体力維持のために年間120~130回ジムに通っているという話は、頭が下がる。また読書についても、激務の現役時代も1日2時間半していたという話には圧倒された。

総リードでも紹介される、鈴木秀子氏の「ヨブよ、腰に帯して立ち上がれ」という聖書の話は、慈悲に満ちた神様とは正反対のイメージだが、神様からの信頼であると解釈するとすっきりする。

「この言葉はいつの時代にも立ち上がっていこうとする人に勇気と力を与えてくれる」と鈴木秀子氏は言う。

気概、挑戦心が必要なのである。4月より新たな部署での仕事が始まる私にも勇気をくれる。

この慈悲に満ちた神様が「腰に帯して立ち上がれ」という相反する言葉を発せられたという話から、3人の話は、相反するものを備えて人間は成長するという話に発展していく。

横田南嶺老師は、中国古典で言う、陰と陽、相反するものが備わって初めて成長するという。
中野氏はそれを受け、マイナスと思うことが自分を活かしていく説き、

數土氏は、天国だけだったら教化というものがない、一方地獄だけでは誰も生きていけない。人間は理想の自分になろう、天国に近づこうとするから努力を重ねると指摘する。

相反するものをどう捉えるのか、自分の心次第で大きく変わっていく。
「自分の心次第」に関しての横田老師の言葉はいつもながらに心に響く。

現代の環境変化に応じるにはこちらに主体性がないと振り回され、受け身になってしまいます。同じ環境に身を置いていても主体性を持って生きるのと、受け身で生きるのとではまるで異なってくる。

厳しい環境でも、自分がこれだと思うものを継続していけば変化を乗り越えていけるのではないか。

そして、數土氏は、私たちの周りに起きてくる変化は避けて通ることができない。それが避けて通れないとしたら、受け止めるしかない。弱腰、逃げ腰では駄目だという。

そして、孫子の言葉である「必ず攻めて守らず」、積極的に攻めるしかないという言葉を紹介する。

私は、どうしてもイヤなことに目を背けがちである。これを改めたい。

 立ち上がり、前に進みたい。

この記事の最後に、數土氏が致知の意義について述べているが、まさにその通りと思ったので紹介したい。

このスピードの早い変化の時、何事も我を忘れて付和雷同しがちな風潮の中で、月に一回、我に返る時間を与えてくれる。こうありたいと思っていたものに出会うことができる。そういう役割は「致知」が月刊誌だからこそ担えるんです。

本には本の魅力がある。そして月刊誌には月刊誌の魅力がある。致知を読み続ける意義を改めて考えさせていただいた。

「森信三 運命をひらく365の金言」に学ぶべきもの

 
 本書(「森信三 運命をひらく365の金言」)に「まえがき」「推薦の言葉」を寄せている、坂田道信氏と浅井周英氏による対談記事である。

 森信三師の人生の歩みを知ると、この歩みあってこそ、生み出された言葉なのだなあと改めて感じさせる。

 本書を昨年より毎朝1日分読み進めている。以前に読んだ「修身教授録」からの引用も多いが、改めて接すると、背筋がピンとなる言葉が多い。

 対談の中でも、本書からの引用がいくつも出てくるが、いくつか1~2月の金言の中から私が気に入っている箇所を取り上げたい。

1月19日  あいさつは自分から

とくに自分より年下の人々に対しても、こちらから先にあいさつできたとしたら、その人はもうその一事をもってしても、他日「人に長たる器」だといえようかと思います。
何となれば、人は自分ひとりでやれることは、たかのしれたものでありまして、結局は、多くの人々の協力を得なければならないからです。

簡単なようでなかなかできないことである。だからこそ「人に長たる器」と森信三先生がおっしゃっている。
これは、常に心掛けたい。

2月5日 情熱の出どころ

マラソン競争なら一瞬一瞬を全力をこめて走り抜く。そのために現在、自分は決勝点まで一体どれほど手前のところを走っているか、ということを常に心の中に忘れないということが大切です。いっぱしの人間になろうとしたら、少なくとも十年先の見通しはつけて生きるのでなければね。そうでないと結局、平々凡々に終わるとみてよい。

「人生二度なし」という言葉に続いて述べられた言葉。常に全力で走りぬく. そして、自分が何を目指してどこに今いるか、そんな事を考えなければならない。
それができないと、平々凡々に終わる。なかなか厳しい言葉である。
人生二度なしなればこその厳しさ。

2月12日 視線

一眼は遠く歴史の彼方を、そして一眼は脚下の実践へ。

本記事でも取り上げられていたが、素敵な言葉である。
「実行するは我にあり」、何を目指すのか明確にしたうえで、一歩一歩実践して前に進んでいく。戒めにしたい。

2月23日 自己をつくるもの

今、諸君らにとって何より大事なことは、真に自己をつくるものは。自分以外にはないということです。すなわち自己を鍛え、自分というものを、一個の人格にまで気づきあげていくのは、自己以外にはないということを、深く認識し決心するということでしょう。

他の日にも同様の言葉が取り上げられる。自分を律するのは自分。いかに己を修めていくのか。心掛けないといけない。

2月24日 話を聞く態度

人の話を聞くときは、後の方で聞くと、どうしても批評的になりやすいものです。(中略)これに反して、一番前の席で聞くのは信受の態度です。そこで諸君らも、講演などを聞かれる際には、なるべく前の席で聞かれるのが良いでしょう。

視力のせいか、期せずして、講演でも何でも一番前で聞くことが多い。確かに先生がおっしゃる通り、心に響く事が多いと思う。
ちょっとしたことで受け取り方が変わってくる。

最後に

「一心万変に応ず」

 良い言葉である。自己をしっかりと持ってこそ、変化に対応できる。

 そして、昨年末から毎日、「森信三 運命をひらく365の金言」「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」を1日分づつ読んでいるが、自分の精神を毎日生まれ変わらせるのに大切なことであり、続けていきたい。
 心に特に響いたものを今回の様にnoteに書いていくのも良い振り返りになるであろう。新たなシリーズものとして始めていきたい。


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