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【読書録87】環境変化に適応して幸せな人生を送るために~成毛眞「2040年の未来予測」を読んで~

 2040年、私は65歳になっている。著者が本書を書いたときとほぼ同じだ。そのときにこのような洞察力のある存在になっているというのは、一つの憧れである。
 
 本書で触れられる未来の話は、断片的には、ほとんど耳にしたことのある話である。しかし著者の洞察も含めて1冊の本にまとめられると、そこから見えてくることもある。

幸せな人生を送るために


 著者は、本書の「おわりに」でこう言う。

 生き残るためには、幸せになるためには環境に適応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。
 環境に適応するには環境を知ることが不可欠だ。人間は想像力を超えた現実には太刀打ちできない。最悪の事態が想定できていれば、右往左往することはない。
 最悪の事態を想定しながら未来を描いておけば、あなたの人生はそれよりも悪くなることはない。そして、そのシミュレーションができていれば、あなた個人に待ち受ける未来は、何も知らずにいたときの景色とは違ってくるはずだ。

 私にとって、2040年は65歳となる節目の年齢だ。2040年にはどんな自分になりたいかを考えるため、2040年どうなっているかを予測を定期的にモニタリングしていきたい。
 
  著者もこう言う。

これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべきだ、どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐのをオススメする。

著者のこの視点が、個々の未来像よりも一番本書を読んで刺激を受けた内容である。

著者が、本書で描く2040年を集約すると以下の3点になる。

・テクノロジーの可能性
・高齢化が進む日本の衰退
・温暖化と天災からの防衛

この3点に沿って記載していきたい。

テクノロジーの可能性


 著者のテクノロジーに対する楽観的な見方には救われる。

 我々の生活は、水準は大きく変わっていないのに、テクノロジーが生活様式を根底から大きく変えてしまったのだ。それがスマホ登場からのこの10年だった。
 そして、これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう

 生活様式を変えた例として、「Uber Eats」「Spotify」「Googleマップ」「Netflix」「Zoom」をあげる。確かに、スマホ、インターネットの力で、やりたいことが手軽にできるようになった。またテクノロジーの力により、個々の興味に基づき、いろいろな人とつながり、また尖った生き方ができるようになったと感じる。

 今後は、もっと個々人が、自分の価値観に沿って幸せな生き方を追求できるようになるのではないかと感じる。

 本書が出版されて、2年しか経っていないが、ChatGPTの出現一つとっても、時代の変化がより大きくより早くなっているのは感覚的にも肯ける。

 テクノロジーを、きちんとフォローしていくことが、今後幸せな人生を送るのに必須というのは理解できる。

そう考えた時に、著者は2つの視点を与えてくれる。

重要なのは、これから起きる新しいテクノロジーの変革は、すでに今、その萌芽があるということだ。
何もないところから、急に新しいものは飛び出てこない。それを知って、バカにするか、チャンスにするかは自分次第だ。
テクノロジー以外にも、「今日」には、これから起こることの萌芽がある。現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできる。

新しいテクノロジーに対して、ふつう、人は懐疑的になる。そういうものなのだ。だからこそ、いち早くその可能性に思いを巡らせられる人にはチャンスがある。

 今、何が起こっているか、しっかりと理解していくことは大切だ。
ゲノム編集、核融合、6G、空飛ぶクルマ。著者が多くのことに対して、その根本原理からしっかりと理解していることには、驚きであり、また自分もそうありたいものである。

高齢化が進む日本の衰退

 
 高齢化が進む日本。
著者は、「すべての問題は高齢者が増えること」という。
 ここから導き出されるのは、70歳までは最低限働かないといけないということ。人生100年時代から考えると、80歳まで現役というのがありたい姿である。

 著者が指摘する、社会保険料の負担率の増加(2009年→2017年 26%増)と賃金の伸び(同期間 3%増)は驚愕の関係。その他、国の財政状況、年金の仕組みなどの仕組みを解説してくれる。

 また「日本は安い国になった」という指摘も体感している通りである。

 退職金制度という慣行が、時代の変化でそもそもの諸悪の根源になっているということは、今までの読書録でも取り上げた「拝啓 人事部長殿」「101のデータで読む日本の未来」でも触れられていたが、これをあてにするというのはリスクが高い選択肢だ。

 資産形成はインデックスファンドというのは、すでに行っているが、これは続けたい。積み立てNISAの拡大に合わせて額を増やしていく。これも山崎元さんの指摘にあったことを読書録で触れた、

温暖化と天災からの防衛 

 
 最後に温暖化と天変地異(天災)である。
今後、生きていくには、この気候変動というものに真正面から向き合わないといけないであろう。
 著者も指摘するとおり、気候変動により、飢餓に満ちた世界、パンデミックが今後も襲ってくる世界、そして、資源と富の争いにより戦争が起こりやすくなるという事態。
なかなか暗い話である。
 
 それに加えて、日本においては、南海トラフや首都圏直下の地震や富士山噴火など、地球の大きな周期上避けられない事態も待っている。自分で自分を守るしかないという著者の指摘はもっともだ。

 高齢化や温暖化・天災に対しても著者はテクノロジーにより解決の可能性があるのではという。
 とはいえ、最悪の事態も見越して、どんな人生を送っていくか。方向感を考える上で、2040年を一つの起点として今後も考えていきたい。
 
 


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