【読書録82】致知2023年4月号「人生の四季をどう生きるか」感想
表紙は、先日、藤井聡太王将と王将戦で死闘を繰り広げた羽生喜治氏。同世代という事もあってか、非常にシンパシーを感じるとともに、変化し続ける姿に心打たれる存在である。
総リード 人生の四季をどう生きるか
人生の四季、いつをどの季節にするのか?本号の対談記事で、五木寛之氏は、以下の通りとしている。
そして、朱夏、白秋までは、現役として社会活動を果たす時期としている。
48歳になり、「朱夏」の終りが近づいているが、まだまだ、社会活動を行う時期は、続く。一方で、節目を迎え、会社との距離感などは、考えないといけない時期でもある。
そして、藤尾秀昭氏は、この朱夏、白秋の時期に大切なこととして、因果の法則を晦まさないことを挙げる。
すなわち、善きことをすれば善きことが、悪しきことをすれば悪しきことが返ってくる。ということである。
因果の法則については、致知2022年12月号追悼稲盛和夫の際に、取り上げた、稲盛さんの講話の中の、「安岡正篤師の「立命の書『陰騭録』を読む」」の話が印象的で心に残っている。
「因果の法則」、大切にしたい考え方である。今回、5年振りに人事異動となったが、去る際には、その部署で今まで行ってきたことの答え合わせをしているような感覚になった。頑張ってきた事が報われたと思ったこと、手を少し抜いてきたことのしっぺ返しを受けているような感覚に陥ったこと、様々である。
そして、玄冬の時代の生き方については、安岡正篤師の言葉を紹介する。
この自己や人生を完成させてゆく過程という考え方には、共感する。老いるとは、衰退するのではなく、完成させてゆく、練れていくものであると考えたい。
最後に引用する曹操の詩も壮大で良い。
老害とならないようにしなければならないが、志は、いくつになっても必要である。
この志を持ち続けるにも、今は、因果の法則を忘れず、己を磨いていく時期であろう。
一道に生き、我が情熱は衰えず
指揮者の小林研一郎氏と将棋棋士の羽生喜治氏の対談記事である。一つの道を貫き、極める二人の対談記事である。特に羽生さんと言えば、最近の藤井聡太王将との王将戦の死闘の記憶が残るが、若いころから天才と言われ、七冠を総なめしている状態から今まで走り抜けてきての心境が興味深かった。
この考え方はものすごく心に響く。将棋の世界は、「十年単位」であるとの捉え方から来る考え方なのかなあと思った。
七冠を取った時には、到りえない心境であろう。これこそまさに、巻頭リードでいう、練れていく、完成させていくという事なのだろうと思う。
80代になる小林研一郎氏は、羽生氏に、「七〇代の頃に分からなかったことが八十代になって分かったとか、そういう感覚を抱かれることはありますか?」と問われ、
と答える。
自分のなかでまだまだ到らないこと、自分の駄目さ加減が走馬灯のように浮かぶことがあるが、小林氏程の指揮者でもそうなのだと思うと、成長の過程、練れていく過程だととらえたい。
人生百年時代をどう生きるか
作家の五木寛之氏と東洋思想家の境野勝悟氏の対談記事である。お二人は、昭和7年生まれの90歳。
話は、五木寛之氏の著書「人生百年時代の歩き方」から始まる。
境野氏は、一番胸を打たれた箇所を、世の中というものはうまくいかないものだとした上で以下のように説かれている所であると紹介する。
人間は色々と求めすぎがちなのかもしれない。
私の場合で言えば、家族と一緒に笑い泣きながら過ごせていること、やりがいのある仕事があること、これで十分なのかと思う。人にどう思われようと、気にしない。自分の価値観に沿った生き方をしたい。そう考えさせられた。
境野氏が始めて参禅したときに山本玄峰老師からいただいた言葉が良い。
「生きていることの値打ちを見つけよ」この言葉で90歳まで座禅を続けているという。素晴らしい。
総リードのところでも紹介した人生の四季を「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」に例えたが、「白秋」(50~75歳)の時期についてこう言っている。
最後に、五木氏が、紹介する、世界的なジャズドラマーが相談にきたドラマーに送ったという一言が印象的だったので紹介したい。
Keep On。君の道を行け、そのままずっと続けなさい。
私のこの読書録の毎週投稿もKeep Onしたいものである。これが私の道なのかもしれない。
慎独(ひとりを慎むなり)
田口佳史氏の連載「四書五経の名言に学ぶ」は、今回は、大学から「慎独」を取り上げている。
効果のある精神修養法として「慎独」を自信をもって推奨するという。
江戸時代の三大修養法として「慎独」のほかに、2つあったという。
忙しくなってくると、修養法を軸として持っているのは大切であるなあとつくづく思う。致知との向き合いは、毎月色々と気づかせてくれる。
そしてなかなか思い通り行かない時こそ伴走してくるものである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?