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【読書録89】自分で決め込み、腹をくくる~中原淳「働く大人のための『学び』の教科書」を読んで~

  以前から何度か読んでいるが、久々に手に取る。
4月から新たなポジションで仕事をしている今の自分にとってすごく響いた。
 バイブルにしたい1冊である。

他人に強制されることなく、「自ら決める」

 
 Chapter1 は、「僕たちはなぜ学び続けなければならないのか?」というタイトルである。

 人生100年時代、少子高齢化にともない、「働き続けなければならない」という義務感・やらされ感を基に「学び」が語られる事もあるが、学び続けること、変化し続けることができることは楽しい事であると思っている。

 本書では、「下山で遭難する人」という表現をしているが、今までの延長線上でしか物事を捉えられないのは、悲しいし、つまらない人生ではないか。

 ただ、私自身もそうであるが、会社で与えられた仕事をこなしてきた人にとっては、下山で遭難しがちなのだと思う。
 
 その点について本書で著者は、こう言う。

わたしたちは、下山の途中で次に自分が「再登山」する目標を自ら進んで決めた方が良いのではないかと思うのです。
他人に強制されることなく、「自ら決める」ということがポイントです。自分のキャリアや将来を他人任せ、組織任せにしないという意思の力が、そこにはあります。

 わたしたち大人自身、一人ひとりが、どうなりたいかを自分で決め込み、腹をくくることです。 

 「自分で決め込み」「腹をくくること」、そうなのだ。そこなのだ。
 
 どうなりたいのか?
 
 なかなか定まらない面がある。
極論すると、なんとなく会社を選んで四半世紀、苦しいこともあったが、トータルで見ると、仕事は楽しいし仲間に恵まれた。
 そのようなことも面もあり、どうなりたいか、まだ自分で決め込み、腹をくくってはいない。

 与えられた選択肢の中で選び、流れ着いてきているという感覚である。
 
 ただ、48歳という50歳手前になり、「見えない崖」がいつ目前に表れるか分からない状況である。
 いつの日かきっと、意に沿わない状態、下り坂の状態になることは目に見えている。

 現時点で考えていることは、今の職場で一回り上の先輩方と一緒に仕事をして彼らを見ていて、会社の人間関係をいつまでも引きずりたくないというということ。
 
 これは昔から変わらない私の軸である。

 中小企業診断士としての活動や読書会を通じて知り合った仲間からの刺激は、私にとっては、欠かせないものである。学び続けることで得られていることはある。また家族中心というのも私にとって変わらない軸である。やっぱり転居をともなう異動は避けたい。会社に振り回されるのはまっぴらという思いである。
 そう考えると、自分で道を切り開かないといけない。

「行動すること」の重要性

 
 そんな私にとって、著者の「大人の学び」の定義は、参考になる。

「大人の学び」とは、「自ら行動するなかで経験を蓄積し、次の活躍の舞台に移行することをめざして変化すること」

 「変化する」ことのキッカケとして、何より行動することの重要性を説く。
 次の舞台に移行することを意識して、自分で決め込まないといけない。

変わることのキッカケは、何より「行動(アクション)」です。行動とそこで得られる経験こそが、「変わること」の原資である

これからの時代を生き抜く人は、新たな環境変化に対して「好奇心」や「興味」を失うことなく、自分を常にモニタリングし、自ら立て直していくことが求められます。

 「好奇心」や「興味」を持つこと。ものすごく大切である。
そして、何よりも「行動」すること。

 行動がなぜ大切なのか。わたしたちは「行動」を通した「結果」からしか、「今後の可能性」や「今後の変化」の方向性の正しさを見定められないからです。

 何かをやってみる。何かをやってみさえすれば、よきにつけ、悪しきにうけ結果が生まれ、あなたの内面には「感情」が生まれます。これは自分の方向とは違うな。こっちの方向に自分は進んでみたいのかもしれないな。つまり行動して、得られた成果、それにまつわる感情をもってしか、人は自分の方向性を決められないのです。だからこそ、行動が大切なのです。原理原則を常に意識しつつ、具体的にどのような動き方をしたらいいのか?を考えてみたいのです。

 行動から見えてくる「感情」。
頭で想定しているのと異なり、実際にやってみないと分からないこと。もの凄く分かる。
これから人生の後半に入るに当たって、やっぱり楽しいことをして過ごしていきたいものである。
 何が楽しいか。それは、行動して、実際に湧いてくる感情でしか分かりえない。
自分の頭で想像したものと実際に行動したことから得られるもの、この歳になっても結構違うなあと思うことがある。

背伸びなくして学びなし、学びあるところに、背伸びあり


「大人の学び」の3つの原理原則として、以下の3つを挙げる。

原理原則➀ 背伸びの原理
原理原則➁ 振り返りの原理
原理原則③ つながりの原理

そして7つの行動として。以下の7つを挙げる。

行動➀ タフな仕事から学ぶ
行動➁ 本を1トン読む
行動③ 人から教えられて学ぶ 
行動➃ 越境する
行動⑤ フィードバックを取りに行く
行動⑥ 場をつくる
行動⑦ 教えてみる

 原理原則➀は、「背伸びの原理」。また行動➀は、「タフな仕事から学ぶ」である。

 今、ストレッチしたポジションを与えてもらっている。
そんな時は、わき目を振らず、タフな仕事を通じて学ぶことが大切なのかなと思う。
「背伸びなくして学びなし、学びあるところに、背伸びあり」である。

 自分のミッションから逃げず、今やるべきことにひとつひとつチャレンジしていく。そしてやり抜くこと。今はそれが一番だ。一番「パワフルな」直接経験をさせてもらっている事に感謝しなければならない。
 そしてそこから一つでも多くのことを学んでいこう。

 また原理原則➁の「振り返りの原理」
これも少しこだわりたい。会社の中での立場も変わり、なかなかフィードバックをもらえる環境ではなくなってきている。フィードバックを求めること、フィードバックをもらえる人を探していくことは重要である。
 
 またそんな只中にあるからこそ、本を通じて学べることもある。問題解決のアプローチ手法を拡げていくには、本は最適である。
 著者は、それを「自分の中に地図をもつこと」としている。また「他者の経験や思考を代理学習すること」としている。
 最近の読書傾向を振り返るとタフな仕事をしているからこそ、本から得て自分に活かしていることも増えているような気がする。

 今は、タフな仕事から学び、タフな仕事をしっかりやれるように、読書からも学んでいく、そんな気がする。
 またフィードバックを求め、振り返りで学びを深めていく。そんな時期だろう。

 そして、少し落ち着いたら、「人から教えられて学ぶ」という体系的に学ぶステージへと移行できるのかなと思う。

 また今の業務で感じる楽しさなどが、今後の方向性を自ら決める材料になっていくのかなとも感じた。

 そう考えると、めちゃくちゃ充実した時期であると感じる。まさに「学び」の時期であると考えて、一日一日大切に過ごしていこう。

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