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職人の背中

職人さんの背中がすごく好きです。
背中で語る、というのかとてもカッコ良さを感じる。

私は前職、革小物を作る職人でした。
会社でベテランの職人さんがいて、この道50年というほんとその道一筋でやってきた方。

その方がやっぱり、背中がとてもカッコよかった。
職人さんて、五感が開いてるんですね。

たとえば、ミシンを踏む音のリズミカルな中に少しでも違う音が入ってたりするとすぐに止まるし、滑らかさの中に凹凸を指で感じる感触だったり、その日の気温や湿度だったり、とても繊細な感覚の中で仕事を常にしている。

もう本当に、尊敬に値します。
ただそれをひたすら追求探求して培われた知識には、1日やそこらでは得られない深みと説得力がありました。

職人さんてなんだか怖い印象があるけど、見せてくれる温かい笑顔ととても澄んだ瞳が職人さんには共通しているものだったなと、今でも思います。

そして、その職人さんは使われる持ち主への想いをとても大事にされていました。

「使う方が肌に馴染みやすいように」

外からは見えなくてもその為に手間を惜しまずに下処理を何度もする姿勢はその方から学んだ全てに通ずるとても大事な姿勢だったと思います。



先ほどもオープンキッチンのレストランで昼食を取ってきたのですが、キッチンの中にいるシェフの皆さんにも同じものを感じました。

火加減だったり、油のはねる音だったり、匂いの変化だったり、仲間がどんな作業をしているのかを肌で感じている感覚、そしてチームワークでパッと盛り付ける俊敏さ。

五感が開いてる感覚と培われた経験の裏づけがこの料理に宿っているんだなと思うと、とても味にも深みが出るようなそんな気がしてしまいます。


目の前にある一つ一つが誰かの手の込められた仕事であること。

そこに想いを馳せることで作り手の方々の想いはきっと伝わってくると思うし、彼らへの感謝が沸き上がることだと思います。
敬意を忘れずにいたいですね。

そして、受け取った温かい気持ちを自分の仕事を通して誰かに渡していきたい、と思うものです。

#精神性 #職人 #料理 #シェフ

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