構造化手法を整理する(1) 概念化の流れを考える

ここまでは、概念化にまつわるあれこれを徒然にお話してきました。
このあたりで、改めて、概念化の流れを整理しておきましょう。

概念化ではまず、全体を俯瞰します。「概念モデル」がその全体像に当たります。
概念モデルは、対象の要素をシンプルに構造化したもので、そこには、考え方の枠組みや結論に至った論理構造なども含まれます。

では、どのように構造化するのでしょう。
構造化の基本形は、ツリー型(階層構造)、マトリックス型(2次元表構造)、フロー型(矢印連結構造)の3つなので、これらの基本形を念頭に以下のように作業を進めます。

1. キーワードを洗い出す
2. キーワードを構造化する
3. キーワードを軸にした枠組みを準備する
4. 枠組みをコンテンツ(中身)で埋める(=概念モデルの完成)
5. その後の検討や議論を通じて概念モデルを充実させる(=概念モデルの熟成)

キーワードは、「枠組みを思い描いて、散在するキーワードを見つけ出せ」で解説したとおり、3つの基本形から洗い出しましょう。
次にキーワードを構造化するわけですが、ここでも3つの基本形が登場します。これらを駆使してキーワードを分類したり、相互依存関係や包含関係などを整理したりします。すると、概念モデルのイメージが見えてくるはずです。

構造化することによる副産物は、キーワードの抜け漏れや重複がわかることです。
「何かが足りない」「言い回しは違うが同じことを言っている気がする」などに気付けば、その部分を補ったり、修正したりすることで、構造がより確かなものになるはずです。

ここまででキーワードは揃い、キーワードの関係性も理解できました。
次の作業は、具体と概念の両面から考えるための枠組みの準備です。これは以前に「概念モデルは、具体と概念の両面から考える上で有効なツール」で説明した作業です。

まず、軸を形成できそうなキーワードをピックアップします。「軸を形成できる」とは、具体的な事象を分類したり識別したりするのに役立つということです。今後のことを考えると、ピックアップしたキーワードがどのように役立つのかを文章で書き留めておくとよいでしょう。
次に、これらのキーワードを軸とする枠組みを作ります。
この一連の作業に正攻法はありません。ピンとくる枠組みができるまで、試行錯誤を繰り返してください。

こうしてできあがった枠組みに、コンテンツ(中身)として具体的な事象を埋め込めば、これで概念モデルの完成です。
このあとは、検討や議論を通じて、この概念モデルを練り込んでください。私はこの作業を「概念モデルの熟成」と呼んでいます。

さて、構造化の流れを順に説明してきましたが、これで安心してはいけません。皆さんの目的は概念モデルを作ることではなく、概念化することだからです。
でき上がった概念モデルは概念の1つの形ですが、それを第三者にうまく伝えるには、「だからどうなのか」「このモデルから何が導き出せるのか」を言語化しておく必要があります。

でき上がった概念モデルをよく眺めてください。
疑問を思い浮かべながら、頭の中をグルグルと回して考えるのです。1人で無理なら、誰か適当な相手を見つけて議論してもいいでしょう。このような検討や議論を通じて、概念モデルは成熟し、完成の域に達するのです。

ここまで到達できれば、多くの人が腑に落ちた感を感じるはずです。
概念化の最終目的は本質を見極めることであり、「だからどうなのか」「このモデルから何が導き出せたのか」という疑問の答えは、極めて本質に近いからです。

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