羊と雲の丘眺望羊群れ2

ひとりぼっちについて

士別に住むことになる前、
私はJRで函館から稚内まで旅をした。

その途中、
旭川のまちのまんなかで、
たんぼや畑に囲まれていた
いままでのまちでは感じなかった、
言いようもない孤独を感じたことを
今でもはっきりと覚えている。

「こんなに大きなまちで
こんなにたくさん人がいるのに、
私はなんで今
こんなにひとりぼっちなんだろう。」

それは
何かで気を紛らわせるようなレベルではない、
なきじゃくりたくなるほど深いさびしさだった。

士別には、
旭川ほどの人がいない。
大きな建物もない。

ひとりでドライブしているうちに
山の中で迷子になったりすると
怖いなあ・・・と思うけれど、
それは人間としての私に備わっている
自然への畏敬の念でしかない。

だからつまり、
人がいっぱいいる環境の方が
「ひとりぼっち感」を
増幅してしまうんじゃないかなあと思ったんだ。

いっぱいの人と、
ちっぽけにさびしい自分の対比として。

旭川での出来事は、
ちっぽけな私を包み込んでくれた
大きな夕焼けとともに思い出す。

そういうものはほんとうは
人がいっぱいいる環境ほど
必要なんだと思う。

きっときっと、必要なんだと思う。


◎鯨井啓子 info

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