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退院の日

ついに、家に帰れる!
病院の生活にも慣れてきて、看護師さんや同室の患者との会話を楽しめる自分がいたり、入院生活も気ままで悪くないと、無理矢理に良いとこ探しを続けていたが、本音は一刻も早く家に帰りたい。
大きなベッドで夫の手を握りながら毎日寝たい。おいしいご飯を食べて、家事をして、家族と顔を見て話がしたい。当たり前の生活がかけがえのない幸せなんだと気が付く。でもそのかけがえのない幸せも、人は慣れてしまうとまた忘れたり、別の新しい刺激が欲しくなったりするのだ。それはそれで仕方ないとも思う。でも、今の私はとにかく家に帰れることが嬉しいのだ。


入院中に描いた絵葉書を2人のお世話になった先生にプレゼントした。
1人の先生とは、南米ペルーの話で盛り上がったので、リャマを描いた南米ぽいデザイン。
もう1人の先生はわたしと同い年とは思えないくらいの落ち着きさと凛とした強さの中に温かさがある。そんな印象を現したつもりだ。あげたときの2人の笑顔を見て、描いてよかったと思った。

再建の先生へ!グラシアス!
乳腺科の先生へ

病棟の看護師さんにはお菓子を用意した。感謝をどうにかして伝えたい。それくらいとにかくお世話になったのだ。わたしは救われたのだ。

あの辛かった夜。痛みや悲しさで寝られなかった夜。わたしは空を見た。病室の窓から見える藍色のそら。どきどき雲がくっきり見えたり、月明かりが見えたり、星がひとつ見えたりした。空を見て何を想うか。
不思議といつも思い出すのはかつて経験した、いつかの美しい夜なのだ。
モンゴルで見上げた満点の星々、愛する人と浜辺で焚き火をしながら見上げた夜空、親友と寝転がりながら流れ星を探した空。つい昨日のことのように思い出されたこの感覚。それが今の私に勇気をくれた。心をほぐしてくれて、あっためてくれたのだ。
かつての美しい夜にとてつもなく感謝した。これこそが生きる意味だとも思った。予期せぬ美しい夜がこれから先もあるかもしれない。そんな夜を過ごすことを楽しみに生きたっていい。人はいつでもこの予想できない美しさや、作られたり準備されてない神様からのサプライズに感動するのだと思う。


わたしは半年後に必ずやりたいことがある!!!

ひまわりのタトゥー

背中にできた約20cmの傷。隠したい恥ずかしい手術の跡ではなく、がんばった私の身体が残した名誉の勲章にしたかった。そんな思いで背中に向日葵のタトゥーを入れたいのだ。デザインを探しているうちにあっという間に時間が経ち、夢中になっていた。
なぜ向日葵なのか?どんなときも太陽を見て生きていきたいという思いからだ。オリーブの葉をもつハチドリも近くに入れたい。平和と愛する人がいつも近くにいますようにという願いを込めて。
半年後に身体に刻む予定でいる。

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