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おせっかい【エッセイ】六〇〇字

 七年前。取引先のYさんと、わが社スタッフHの女性二人と、いきつけの寿司屋のカウンターにいた。年一回の食事会で、十六年前から続けていた(昨年は、自粛で初の中止に)。単に美味しいものを食べる会だった。
 二人が着いてすぐ。ダイエット中のHに、『炭水化物が人類を滅ぼす』という本を渡した。するとYさんが言った。「今からお寿司を食べようとしているときに、渡す本じゃないでしょう」と。余計なお世話だったようで、高いネタをたらふく、食べられてしまった。
 おせっかいな言葉の調査結果がマイナビのサイトにあった。男女とも一位が、「結婚しないの」。女性の四位に、「やせたら」が———。
 「結婚しないの」は、私にも経験がある。母が仲を取り持ち、見合いを経て父方の従兄と、母方の従姉が結婚した。その後、相次いで母と父が亡くなり、親代わりの従兄姉夫婦によく言われた。結局、人生で初めてで最後になるお見合いをすることになった。なんとか終えて、どう断ろうかと悩んでいたときに、先さまから断りの連絡が。「そもそも、結婚する気がないようなので」が、理由だった。
 一昨年の酷暑の日。ウォーキング中、信号待ちしていると、横でバタンと倒れる音が。八十代位のお年寄りだった。唸っているので、「お父さん、そのまま。そのまま。動かない方がいいですよ」と、起き上がろうとするのを制止した。すると、「ここ、熱ぇんだよだヨ」と、灼熱のアスファルトを指さした。

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