予算が捻じ曲げられる理屈2
予算が捻じ曲げられる理屈の続きを述べていこうと思います。
前回述べた、旅行需要の平準化は、go to travelの延長線です。
今回はgo to eatについて述べようと思います。
飲食店支援
go to eatの概要
go to eatは、go to travelの外食版として行われていたものです。
こちらも国の予算を都道府県が消化するタイプのものです。
travelは観光庁で、eatは農林水産省という違いはありますが、国の予算です。
基本的にはプレミアム付き商品券事業だった、ということを思い出してください。
まん延防止等重点措置に応じた加盟店のみでしか使用出来なかったことや、また、紙のプレミアム付き商品券が発券、販売されていたということを思い出してください。
何故農林水産省だったか
この事業が何故農林水産省だったか、これは簡潔かつ明瞭な理由がありました。
飲食店に食材を卸す農林水産業の支援です。
コロナは飲食店に打撃を与えましたから、食材の生産者にも打撃を与えていたのです。
飲食店と生産者の支援を目的として、go to eatは開始されました。
まずこの目的を抑えておきましょう。
高齢者のための券
この目的の達成のために、プレミアム付き商品券が発券されてしまいました。
キャッシュレス決済を普及させている渦中なのに紙の券を発券したのです。
QRコードで読み込めるわけでもない紙の券を。
何故か。
キャッシュレス決済を使用したがらない高齢者が多いからです。
わざわざ都道府県が指定した窓口に行き、現金で支払って紙の券を手に入れるほうが安心感がある高齢消費者が多いからというのが1つ。
キャッシュレス決済への移行をしない高齢経営者の店舗でも使用できるからというのが1つ。
高齢消費者にも高齢経営者にも都合が良かった。
高齢者のためだけに紙の券が発行されたのです。
本来なら、デジタル決済への移行中だったのですから、デジタルクーポンにでもしておけば、十分だったはずです。
事業者の規模を問いません。
PayPayが使えるキッチンカーが増えている現状で、紙の券に固執する意味がわかりません。
キャッシュレス決済の手間が云々と言うのなら、紙の券の現金化も手間なはずです。
けれど、高齢者のためだけに紙の券が発行されてしまった。
本来の目的は何でしたか。
食材の生産者の支援だったはずです。
高齢消費者と高齢経営者のためではなかったはずなのに、いつの間にか高齢者向けになった。
これがgo to eat問題の最たるものです。
紙の券のマイナス
飲食店と生産者のためだったはずの券が、高齢者向けの紙の券になってしまった。
これでは副次的なマイナス効果が生じてきます。
お釣りが出ないということ。
額面の金額を少し上回る額の飲食でないと、使用出来ない不便な券になったということです。
紙はどうしても嵩張ってしまうために、100円券の発行をする都道府県はありませんでした。
良心的な県でも、全て500円券です。
良心的でない県では、全て1000円券です。
お釣りがでないのにですよ。
デジタルクーポンであれば、小分けにして、100円引きなり、200円引きなりに出来たはずです。
けれども紙の券ではそれがしにくかった。
そのため、わざわざ消費者に皺寄せが行く制度に成り下がってしまったということなのです。
政治家によるマイナス
加藤官房長官(当時)が、昼は500円、夜は1000円と言ってしまったのもまずかった。
贅沢のための券では無かったからです。
あくまでも飲食店と生産者を買い支えるための券であったはず。
にもかかわらず、たまには外食してちょっとだけ豪華な食事を楽しむ、と歪めてしまった。
1000円券のみしか発券しない県知事は、官房長官よりも劣悪です。
たまには家族で外食して食を楽しんでいただく、飲食店を助けていただく、などとほざいた。
ほざけ。
これだけ未婚率が上昇の一途である中、家族での外食がどうたらこうたらと二度とほざくな。
こう思いました。
飲食店を支えているのは、たまにしか来ない家族ではなく、頻繁に通う常連客です。
500円券を発券しない県知事の寝言は、マイナスでしか無いのです。
一人で1000円を超えるほど贅沢をするための券で無いのに、家族の外食を事例に持ち出してくるのは、事業目的のわかっていない愚物だと言わざるを得ませんね。
そもそも共働きが増える中、家族で外食する暇が取りにくい現状さえわかっていないということも露呈してしまっています。
本来の目的は、飲食店と生産者支援で、育児支援では無いのです。
政治家の自慢のために悪用してはいけません。
行政の恐ろしさ
行政の恐ろしさはそこなんです。
高齢者向けでないものを高齢者向けにする。
紙の券を発券してまで。
家族向けでないものを家族向けにする。
500円券の発券を怠ってまで。
本来の目的は豪華な食事でもないし、家族の団欒でもないのです。
夕食に奮発して1000円超えの食事をするというのは、たまの贅沢に過ぎません。
家族連れでたまには楽しい外食を、も同様です。
足繁く通う常連客たちが飲食店と生産者を支えているという現実が全く見えていないと言わざるを得ませんね。
本来の目的は
本来の目的からずれてしまう。
また、本来の目的を達成しにくくなる。
そこまでして予算を捻じ曲げる理屈は何ですか。
キャッシュレス決済が嫌いな消費者。
キャッシュレス決済が嫌いな経営者。
標準世帯モデルの有権者。
大票田に合わせる政治家。
それぞれが本来の事業目的に立ち戻らないからである、ということではないですか。
飲食店と生産者の支援を口実に、捻じ曲げていて良いはずがありませんね。
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