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基本と原則に反するものは、例外なく破綻する。


今やあらゆる先進社会が組織社会になった。主な社会的課題はすべて、マネジメントによって運営される永続的存在として組織の手にゆだねられた。

一人ひとりの命まではいかなくとも、現代社会のそのものの機能が、それら組織の仕事ぶりにかかっている。

著者[P.F.ドラッカー]
ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家として知られる。東西冷戦の終結、転換期の到来、社会の高齢化をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「経営戦略」「民営化」「顧客第一」「情報化」「知識労働者」「ABC会計」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの理論と手法の多くを考案し、発展させてきた。


■マネジメントの3つの役割

企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは組織自体のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。

組織は、目的ではなく手段である。したがって問題は「その組織は何か」ではない。「その組織はなにをなすべきか。機能はなにか」である。

①自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命。すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。

②仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人一人の人間にとって、生計の糧、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。

③自らが社会に与えた影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題解決に貢献する役割がある。



■企業の目的

企業とは何かを知るためには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。

企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。

企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意思を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。

しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスが提供するもの、すなわち効用である。

企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。



■利益の持つ機能とは何か

利益とは原因ではなく結果である。マーケティング、イノベーション、生産性向上の結果手にするものである。したがって利益は、それ自体致命的に重要な経済的機能を果たす必要不可欠のものである。

①利益は成果の判定基準である。

②利益は不確定性というリスクに対する保険である。

③利益はより良い労働環境を生むための原資である。

④利益は医療、国防、教育、オペラなどの社会的なサービスと満足をもたらす原資である。

最近の企業人は、利益について弁解ばかりしている。だが、利潤動機や利潤極大化などのナンセンスを言っている限り、利益を正当化することはできない。

社会および経済にとって必要不可欠なものとして利益については、弁解など無用である。企業人が罪を感じ弁解の必要を感じる時は、経済活動や社会活動の遂行が困難になることである。

利益を生むことができなくなることである。



■われわれの事業は何か

自らの事業が何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。鉄鋼会社は鉄をつくり、鉄道会社は貨物と乗客を運び、保険会社は火災の危険を引き受け、銀行は金を貸す。

しかし、実際には「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほとんどない。「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの責任である。

企業の目的としての事業が十分に検討されていないことが、企業の挫折や失敗の最大の原因である。逆に、成功を収めている企業の成功は「われわれの事業はなにか」を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによってもたらされる。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。

顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点からみて、初めて答えることができる。

顧客にとっての関心は、彼らにとっての価値、欲求、現実である。この事実からしても「われわれの事業は何か」との問いに答えるには、顧客からスタートしなければならない。

すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。



■人と労働のマネジメント

人と労働のマネジメントに関する文献は、少なくともその数では、経済科学やコンピュータに関する文献にひけをとらない。それらのうち最も読まれ、最も利用されているものが、ダグラス・マクレガーのX理論とY理論である。

マクレガーは、人と労働について二つの理論を示した。X理論と名付けた伝統的な見方は、人は怠惰で仕事を嫌うとする。強制しなければならず、自ら責任を負うことのできない存在とする。

これに対してY理論と名付けた見方は、人は欲求を持ち、仕事を通じて自己実現と責任を欲するとする。X理論は人を未熟な存在とし、Y理論は人は成人たることを欲する存在であるとする。

現実は強いものさえ、命令と指揮を必要とする。弱いものはなおのこと、責任という重荷に対して保護を必要とする。世界は大人だけから成っているのではない。

マズローも、永遠に成熟しない人間があまりに多いと言っている。そのうえ、精力的な人もいれば怠惰な人もいる。同じ人が、違う状況のもとで違う反応を示す。



■三つの条件

働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である。

①生産的な仕事
仕事を分析せず、プロセスを総合せず、管理手段と基準を検討せず、道具や情報を設計せずに、仕事に責任を持たせようとしても無駄である。

②フィードバック情報
成果についてのフィードバック情報を与えることである。自己管理が可能でなければならない。自らの成果についての情報が不可欠である。

③継続学習
継続学習は、肉体労働と同様、事務労働にも必要である。知識労働にはさらに必要である。知識労働が成果を上げるためには専門化しなければならない。

したがって、他の専門分野の経験、問題、ニーズに接し、かつ自らの知識と情報を他の分野に適用できるようにしなければならない。経理、市場調査、企画、ケミカルエンジニアのいずれにせよ、知識労働に携わる作業者集団は、学習集団とならなければならない。

これら三つの条件は働く者が自らの仕事、集団、成果について責任を持つための、いわば基盤である。したがって、それはマネジメントの責任であり、課題である。



■マネジャーの仕事 二つの役割

マネジャーには、二つの役割がある。

第一の役割は、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体制を創造することである。

マネジャーはマネジメントの一員として、事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つの役割も果たさなければならない。

この三つのうち一つでも犠牲にする決定や行動は、組織全体を弱体化させる。あらゆる決定と行動は、三つの役割すべてに適切でなければならない。

第二の役割は、あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくことである。

いずれを犠牲にしても組織は危険にさらされる。今日のために明日犠牲になるものについて、あるいは明日のために今日犠牲になるものについて計算する必要がある。

それらの犠牲を最小にとどめなければならない。それらの犠牲をいちはやく補わなければならない。

マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが後天的に学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得できない資質、初めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。

才能ではない。真摯さである。



■トップマネジメントの役割の特徴

トップマネジメントに課せられる役割は、各種の能力、さらには各種の性格を必要とする。少なくとも四種類の性格が必要である。「考える人」「行動する人」「人間的な人」「表に立つ人」である。これら四つの性格を併せ持つ者はほとんどいない。

トップマネジメントにはそれぞれの流儀があり、それぞれ自分なりに役割を決めればよいとの考えはナンセンスである。誰にも流儀はある。それはそれでよい。しかし、トップマネジメントとは何であり、何でなければならないかは客観的に規定される。

引力の法則が、その朝物理学者が食べたものと関係ないように、トップマネジメントの役割はその座にある者の流儀とは関係ない。

トップマネジメントの役割が、課題として常に存在していながら仕事としては常に存在しているわけではないという事実と、トップマネジメントの役割が多様な能力と性格を欲求しているという事実とが、トップマネジメントの役割のすべてを複数の人間に割り当てることを必須にする。

トップマネジメントとは、一人ではなくチームによる仕事である。トップマネジメントの役割が欲求するさまざまな体質を一人で併せ持つことは不可能である。

しかも、一人ではこなしきれない量の仕事がある。健全な企業では組織図における肩書の如何にかかわらず、トップマネジメントの役割はほとんど常にチームで遂行している。


いまやこの転換期を乗り切るためにも、マネジメントの力が不可欠であることが明らかである。

それは、資本主義社会、その後のポスト資本主義社会よりも、むしろそのまた後にくるべき知識社会において、不可欠の道具、機能、機関として、仕事のプロが身につけておくべき常識、教養となるに間違いない一つの膨大な体系である。




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私達はマネジメントについての理解と必要性を認識するべきだ。

それは大企業から、町の商店街のお店までマネジメントは必要であり、個人に至るまで重要な力だ。

マネジメントが出来ていない者は衰退の一途を辿る。

会社や大きな組織は当たり前にマネジメントされていて、多くの人たちはその仕組みの上で行動している。

しっかりとしたマネジメントがされていれば、今の時代のトレンドと言っていい変化や多様性に強い。

しかし、変化や多様性に弱い所は多くあり、そういった所はマネジメント力に欠ける。特にビジネス感が薄い場所はそう感じる。学校や自治体や公共のサービスなどは変化や多様性に移行するスピードが極めて遅い。

古くからあるルールや決まり、取引先、サービスが前例通りに行われる。

それが悪いわけではないが、思考停止して同じことを繰り返すのではなく。変化することのメリットとデメリットを考えてほしい。

変化することのメリット大きいと感じるのなら、変化することのできる組織であるべきで、それを可能にするマネジメントのシステムが必要である。

そしてマネジメントのシステムをアップデートできる環境が必要だと私は思う。

私達が持っている裁量の中で変化に対応できるアップデートという選択肢があるのなら、それをやることが本当の意味で「正しいかどうかわからない」が、やるべきだ。

世の中を変えてきた人達は、「正しいかどうかわからない」けど、自分の裁量の中で良いと思うマネジメントシステムをアップデートをし続けてきたのだから。


私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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