シリコンバレーで挑戦する日本企業

日本企業のシリコンバレー進出は増え続け、過去最高となっている。最近は何を目的にシリコンバレーに進出しているのだろうか。企業の進出の目的が変わってきている。

■技術スカウティングを目的にした進出

従来は、次世代プロダクトにおいて差別化要因になる技術を求める「技術スカウティング」を目的にする企業が多かった。技術スカウティングでは、顧客ニーズを良く知る既存事業部とすり合わせ、次世代プロダクトの要件を明確にできれば、対象企業を見つけることができる。ベンチャーキャピタルへの出資などにより、現地スタートアップコミュニティと接点を持つことにより、スタートアップとのネットワークを広げてきた日本企業がこの分野で成功をおさめることが増えてきている。■デジタル化を目的とした進出

昨今では、多くのシリコンバレー進出企業が、AIやIoT等のデジタル技術を活用し、顧客と直接つながりながらビジネスモデル全体を変革する「デジタル化」にチャレンジするようになってきている。デジタル化による新規事業成功の方程式は無い。最も大きな変化は、ユーザーと直接つながることにより、ユーザーがどのように製品を使っているかが分かるようになったことである。「どのようなスペックの商品を提供するか」から「どのように使ってもらえるか」に価値が移っている。このような状況では、ユーザー基点に立って提供価値を考え、製品をリリースした後に試行錯誤を繰り返しながら絶え間ない改善を続けることが重要となる。

■日本企業が直面しているチャレンジ

ユーザー基点の観察をベースにしたスタンフォード大学発の「デザイン思考」や、最低限のプロダクトで短いサイクルで仮説検証を繰り返す「リーンスタートアップ」は、成功に向けて取るべき行動様式を理論化、フレームワーク化したもので、いわばシリコンバレー企業の教科書となっており、考え方は深く浸透している。

日本企業は、製品リリースまでに最大限の努力を傾け超高品質の製品を作る事を重視し、緻密な考え抜かれた計画に基づき成功を収めてきた。「不確実性を受け入れながらとりあえずやってみる」「不完全な状態のままスピードを重視して潜在顧客に問いかけてみる」「恥をかきながら失敗を繰り返す」行動様式に自己変革できるか。この点が最も大きなチャレンジとなっている。

http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00223/051400010/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?