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だからこんなに素敵なんだ

小さい頃。
歌といえば、「サビ」(音楽の一番盛り上がる部分)が一番好きで、楽しみだった。

しかし最近は
一番最初の歌い始めや、「サビ」以外の部分が特に好きで、歌うのも聴くのも楽しみになっている。


頭の中でイメージする


「サビ」といえば、
キャッチーなメロディーで誰もが覚えやすかったり
歌詞も印象的なものが多い。
“韻”を踏んでいれば尚更、リズムも取れて、口ずさむのが楽しい。

そして何より
「一番伝えたいこと」がサビにやってくるようなイメージがある。



私が最近魅力的に感じているのは、AメロBメロと言ったりする
その曲が「一番伝えたいこと」の“前後”の部分だ。


「一番伝えたいこと」を際立たせるため。
まずはイメージを膨らませていく。


「風景」の描写
「心境」の移り変わり
曲に登場する人物たちの関係性
「季節」や「温度」を感じる詩的な表現、など。


ある程度イメージが固まってきたところで、
「サビ」へ突入すると
その曲への“感情の入り方”が変わってくるような気がする。


実際に歌ってみる


あとは単に、歌うことが楽しい。

この曲の伝えたいことを、「私が」表現する。

一種の“使命感”のようなものを背負って、
まるで俳優になったような気持ちで、声に出して音を取ってみる。


「サビ」に向かって。その前後は

優しく歌ったり
息遣いをちょっと大袈裟にしてみたり
話し声に近い声質に変えてみたり
曲の中に「セリフ」があったら、登場人物になりきったり
最後の余韻をいかに残せるかと耳を澄ませたり…。


「サビ」が際立つのは
その前後が丁寧に、大切にされているからのような気がするのだ。


日本語のうた


英語と違って
「一音」に「一文字」。
例えば
「ド」の音に「あ」の一文字。

…これが、なんだか勿体無いような気がしていた時期があった。


英語ならもっとたくさん単語を並べ、文章を作れて
たくさん伝えられるのに。

試しに曲を作ってみたことがあるけれど
「言葉を削る作業」がとても大変だった。

でも一音にたくさん言葉を当ててしまうと
途端に、なんだかしっくりこなかったり
リズムが取りにくくなってしまう。

…言葉をもっとたくさん知っていれば、違ったのかもしれない。


しかしそうやって「厳選された言葉たち」で構成された一曲だからこそ
少ない言葉に、数分間の短い一曲に
ギュッと魅力が詰まっているのかもしれない、とも思う。


雨が降ってきた。

最近、ヨルシカさんの『雨とカプチーノ』をよく聴いているからだろうか。

それとも
原田マハさんの『たゆたえども沈まず』が早く読みたいからだろうか。

単にこの前、沸騰したお湯の湯気を数秒間眺めていたせいだろうか。


…今日はずっと
「揺蕩う(たゆたう)」という言葉が頭をよぎっては
『雨とカプチーノ』が自動再生されている。

さあ
揺蕩うように雨流れ
僕らに嵐す花に溺れ
君が褪せないような思い出を
どうか どうか どうか
君が溢れないように

雨とカプチーノ / ヨルシカ 歌詞抜粋

厳選された少ない日本語。


だからこんなに素敵なんだ。


また曲作り、してみたいな。
「揺蕩う」みたいな、日本語ならではの魅力的な表現が使いこなせる人、素敵だ。
言葉をもっと知りたいな。




2024.4.23

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