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恋愛詩:一本道とチューリップ

持病の関係で私は毎週末
院内併設の緑地園を歩いて
治療に通っている

門から延びる一本の歩道脇の
花壇の前に毎週いる車椅子の
イケメン男子がいつもの様に
歌っているけれど今日は
何故か赤い花を手にしている
そして今日来る途中
私のイヤホンの充電が
切れてしまった為
初めてその歌声を
聴くことになったのだ

「君の心へつづく長い一本道は
いつもぼくを勇気づけた♬」
祖母の大好きな曲『青春の影』

それ知ってるよと立ち止まり
話し掛けた私の顔を
驚きの目で見つめながら彼は
私にチューリップを手渡して
何故か私に礼を言った

「君が通る時はいつも
繰り返し歌ってた
そしてやっと
手術する決心がついたんだ
ありがとう」って

赤色 #花言葉 :愛の告白

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