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イタリア人の夢と希望を育てたドラゴンボール

今の僕がいる理由は、間違いなく鳥山先生のおかげだ。
どんな形で感謝すればいいのかわからないほど、尊敬と悲しみに挟まれている。

昨日みたいな話だけど、おそらく数十年たった。小学生の頃、ある夏休みにローカルなテレビ局でたまたまチャンネルを変えたら、面白そうなアニメが流れていた。シンプルだけど深いストーリーと、イタリアっぽくない書き方。たった数分で僕の世界を支配し、もう見ずにはいられなかった。

当時はどこのアニメなのかさっぱりわからなかった。イタリアに日本のアニメと漫画のブームが来るかなり前のことだ。耳で聞いたことがないそれぞれのキャラクターの名前を覚えるまで、必死に頑張った記憶がある。転んでも負けない、オレンジ色の服を着ている子どもからこんなに力をもらえるなんて、人生の中で1番大きな驚きかもしれない。その子どもと共に、僕たちは大きくなった。

戦いのアニメかと思いきや、実はそうではない。仲間を守って決めたことを諦めずに力のある限り最後までやる。どんな現場、どんな相手でも学んで自分の成長にする。狙いもなくただ、平和だけ望む。今考えると、理想的な社会。いや、いや。理想的な宇宙の話なのだ。

僕がドラゴンボールを見始めて少しした頃から、イタリアに日本ブームが到来した。徐々に広がって、とうとうイタリア全国のテレビ局にドラゴンボールが流れる日が来た。放送時間は平日のお昼過ぎという学校帰りの楽しみタイムだ。学校が終わって疲れもある中で、ドラゴンボールだけは見れる。続きの戦いを見れる。勝つため、悟空には僕の力も必要だと思いながら、ドキドキ感が半端なかった。ある意味、5時間の授業を頑張れた理由は、悟空のおかげだ。

嫌なことややりたいことがあっても、次のステップに進むために努力して自分との戦いもある。ドラゴンボールを見ていたイタリア人の子どもたちが、大人になってもドラゴンボールを見続ける。最初から最後まで、何周したとしても毎回初めて見ているようだ。知らないうちに両手を上げて、悟空に力を送ろうと真剣にしていた。というか、今もしている。

鳥山先生がドラゴンボールで何回も描いた天国のシーンを思い出して、きっと彼は
これからもレベルアップのために行動しているだろうと感じた。僕より、元気に生きていると思っている。彼から学んだ成長と努力の言葉は、何より効いた教えだった。

世界中に広がっているこの悲しいニュースは、イタリア全土にも影響している。現地のニュースやイタリア人のそれぞれのSNSアカウントの内容を見ると、「ありがとう」「これからもよろしく」「悟空を頼む」などの言葉が多い。鳥山先生は実は、界王星に行ったのかもしれない。

数えきれないほどのコメントに驚いた理由は、「ドラゴンボールのおかげでデザイナーの道を選んで成功できた。」「ドラゴンボールがなければ今のやっている仕事はできなかったかも。」「ドラゴンボールに出ているものは現在はよく見かけて当たり前になっているけど、鳥山先生の想像力がすごくて真似してみた結果、自分の人生に大きく影響している。」などのその影響力だ。実は僕もそうかもしれない。日本語を勉強し始めた頃、当たり前のようにドラゴンボールを繰り返し見ていたのだから。

ちょっと恥ずかしいけど、ここだけにしたい話がある。
実は、僕にとっての初恋はブルマだった。そして現在でも好きかも。頭が良くて、強い行動力を持って壁にぶつかりながら、どうしても止まらない。心の奥にある優しさが見つかるまで時間がかかるかもしれないけど、見つけたら恋に落ちる。僕はそうだった。ブルマといえば、すぐ思い出すのは亀仙人だ。彼も見た目と思いやりのギャップに刺された。

ドラゴンボールの構成と流れ、ストーリーの細かさまで考えた鳥山先生は、もしかしたら元スーパーサイヤ人なのかも?と随分前から疑問がある。だから、今は地球人のために、動いて戦っていると思っている。

「今までありがとう」ではなく、「今まで教えてくれたことを忘れずに、これからも努力する」だ。人生を進む上で最強の教科書を作ってくれて、ありがとう。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。