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【マンガ書評】いいひと。

夜型人間のため、本日も起床は11時頃、シャワーを浴びて頭が冴えてきた頃には、箱根駅伝は既に最終10区でした。最後の駒沢大学の大逆転は凄かったですね。ずっと首位を守っていた創価大学の10区の選手にはなんとも厳しい現実が待っていました。世の中、努力すれば必ず結果が出るとは限らないのが難しいところです。

そういえば、青山学院大学には留年して今回の出場を勝ち取った選手もいましたね。案の定、Twitterでも賛否両論が飛び交っていました。
この話を聞いて真っ先に思いついたのがこの漫画です。私が大学生の頃に連載されていた漫画で、草彅剛さんが主人公を演じた民放ドラマにもなりました。(ドラマの方は一度も見たことないですが・・・)
大手スポーツ用具メーカーに就職した社会人1年目の若造が、会社に対して持論をぶちまけたりいろいろなことをやらかして、社内外に様々な影響を及ぼしていく漫画です。例えば、勝手に社内で部署を作ったり、不採用になった学生をもう一度売り込もうとしたりと、常識外れのことを色々としたのですが、最終的には新製品の開発に成功したり、お荷物部署を立て直したりと、皆に良い結果をもたらしていきます。

ただ、幹部クラスからは問題児であることは変わらず、ひょんなことから箱根駅伝を目指すチームの監督を任されることになってしまいます。(主人公は、学生時代は弱小ながら陸上の選手という設定)

ライバルチームには、当時はおそらく珍しかった外国人選手が参加しており、チームのメンバーからは「卑怯だ」「負けても仕方ない」という声が広がりますが、主人公の一言でみんなが黙ってしまうシーンがあります。

「彼は「ザハト」君だ。」

人それぞれ人生があってそれまでの努力があって、今ここに選手として立っているわけなんですね。立場によって見方などどのようにでも変わるということに、この漫画を通して気づかされました。現在でも、スポーツによっては留学生に対する拒否反応はそこそこあるように思いますが、答えの出しづらい問題ですね。

しかし、この漫画の凄いところは、この外国人や先に挙げた留年生よりも常識ではありえない選手が箱根駅伝に参加してくるところです。(え?学生・・・?みたいな選手です) 是非この辺りは漫画を読んで楽しんでもらいたいです。

改めてこの漫画を思い返してみると、既にフェミニズム(主に女性の働き方)についてかなり深いところまで語っていましたね。結局、男と女って違うよねって展開もされており、今読んでも古さを感じない議論がされていると思います。(この30年近く大して議論が進んでいないのかもしれません)

他にも当時の世相が色濃く出ており、就職氷河期の話やリストラの話が多く取り上げられており、人間模様が生々しく語られていて、現代社会においても楽しめ役に立つ漫画に仕上がっていると思います。


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