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名簿のシュレッダー処理を「障害者雇用の職員が担当した」との答弁で思った事

昨日人権週間についてnoteを書いて、国や自治体が人権を軽視しているという事を少し書いたのですが、その直前に安倍晋三首相が名簿を廃棄したのが「障害者雇用職員」だったと答弁した事がニュースになりました。

障害者雇用と言う必要があったのでしょうか。この原稿を書いた人もチェックした人も、そして読む人も誰も疑問を感じなかったのでしょうか。自分達を守るために必死になっていて気付かなかったのか、いいえきっと普段からそうした事に思いを巡らせていないからだと思います。

過去の答弁と食い違ったり、質問している事に答えないという事がたびたびあるので、実際に障害者雇用の職員がシュレッダー処理をした事が本当なのかももはやわかりませんが、どちらにしても突然に障害者雇用という言葉を出してきたのが本当に嫌です。

担当職員が「障害者雇用で短時間勤務だった」というのをすぐに廃棄できなかった理由としている点について、障害者を利用していると批判が相次いでいますが、私が一番気がかりなのがその担当職員の今の気持ちです。

その担当職員はただ仕事としてシュレッダーをかけただけです。それなのに国会と言う場で、しかも首相の口から自分の事について言われたのだから、とても驚き辛い気持ちになったのではないでしょうか。

障害者雇用で働いているという事を本人は働いている全フロアに言っているわけではないはずです。障害について周囲に言う場合も、本人の気持ちを尊重するのが大前提で、仕事の割り振りなどで同じ係や課などある程度の範囲に障害を知ってもらう時も、どこまで障害について言ってよいか、本人とその上司などでしっかり話し合って確認をしてから言うものだと思っています。

例えば精神障害や発達障害として障害者雇用で入った場合、電話対応が苦手だけれど障害があると知らない周囲の人は「電話にどうしてでないんだ」と言うかもしれません。そうした時に障害について伝えて良いか、どう伝えるか、できる事とできない事を確認するなど、様々な配慮が必要なはずですし、何より本人の意思が大切ですし、本人を置き去りにして他人が「あの人障害者だから電話対応できないので」といきなり障害者がある事、障害者雇用である事を言ってはいけないわけです。

今回の答弁で本人に「資料廃棄までの流れで障害者雇用のあなたがシュレッダーを担当した話をしますがよろしいですか?」と事前に確認したとは思えないですし、何より確認したとしても障害者雇用だという必要は全くありません。

障害者雇用の職員というだけでは、離れた所にいる私達には誰かを特定できないかもしれません。しかし少なくともその職員に近い人、例えば隣の部の人、同じフロアの人などは障害者雇用だと知る事になる可能性があります。勿論障害者雇用だと知ってもその人への対応は変わらないはずですが、そういう問題ではなく本人の口ではない所から、本人の了承を得ない所で障害者雇用だと言われる事に恐ろしさを感じました。それもいきなり国会で。

中央省庁や自治体の障害者雇用の水増し問題がありましたが、障害者をとりあえず決まった数を雇用すればいいし、雇用率守れなくてもごまかせばよいだろう、そんな考えがあるから上に書いたように障害者雇用を利用する答弁ができるわけです。

障害者雇用で働ている本人の気持ちを蔑ろにしない、本人の意思を尊重する、勝手に障害がある事を言わない、そんな当たり前の事もできないという事は、人の気持ちを大切にできないという事ですし、そういう人たちが国の上の方にい続ける事に恐怖を感じました。

資料廃棄などが大きな問題になっている中で、私はその担当職員の方の心が心配です。周囲の方とか、あと産業医が入っていると思うので、職員の不安を少しでも軽くするように面談やケアをどうかお願いします。

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