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暴走列車の犠牲者たち

ずっと価値が下がり続けているのにも関わらず
気位だけが高い心のスタグフレーション国家よ
... ... ... ...

この列車は遠い昔は世界に名を知られていたと
乗り合わせている人々は遠い過去の栄光だけを
心の拠り所として他の国の路線を見下している
今はもう誰にも乗りたいと思われていないのに
嘘や数字の操作をして客車の化粧板を直しても
剥がすと裏の骨組みはずっと前から腐っていた

斜陽と言われないために必死に太陽を追いかけ
走り続けるために多くの人の夢や希望や財産が
炎に放り込まれ燃料として使われ始めたけれど
さらに長く走るために少しでも軽くすべきだと
役に立たないと判断された者たちが呼び出され
最後尾の車両に詰め込まれた瞬間切り離された

このままではいつか運転が止まってしまうから
列車のためには誰かの犠牲が必要だという大義
動かすために火室に身を投げろとの指令が来る
その流れに歯向かったり嘘を暴こうとする者は
後ろ手に縛られ窓から次々と捨てられていった
そんな野蛮な思考も正当化されていく暴走列車

生産性のない存在に生産性を持たせてやろうと
無理に走る列車の炉に多くの命が投げ込まれた
人が燃える臭いが黒い煙となり周囲を覆っても
心を捨て何の感情も持たない運転士は知らぬ顔
ついに金色に輝く世界へ着いたと思ったけれど
そこはひとつの命も存在しない人骨砂漠だった

... ... ... ...

途中で運転士は破綻した列車を乗り捨てていき
何もなかったように別の豪華列車に身を移した

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