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病んだ歌詞群にぶちのめされる。毛皮のマリーズ「Gloomy」

毛皮のマリーズがインディーズ時代に出した最後のアルバム、「Gloomy」。

アルバムタイトルの「Gloomy」って「憂鬱な」、「陰気な」といった意味合いの形容詞なんだけれども。

このアルバムを一言で表すなら「躁鬱」のほうが適切だと思う。

毛皮のマリーズというバンドはインディーズ時代から解散に至るまで、60年代・70年代ロックのオマージュ曲ばかり量産していた。そのため、パクリバンドと批判されることも多い。

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(画・緑色三号)

このアルバム「Gloomy」もご多分に漏れず、もうオマージュマシマシアブラカラメアルバムといったところである。

全体を通してビートルズオマージュが多いので、ビーオタ(ビートルズオタクの略)は節々でニヤニヤしてしまうことだろう。あまりにもまんますぎて怒っちゃう人もいるかもしれないが……。

そんなオマージュだらけのアルバムだが、完成度はかなり高い。

曲単体でみるとイマイチな曲も、躁鬱的なアルバム全体の流れで見るとかなり良かったりする。そんなところまでビートルズに似ているのである。

そしてものすごいパワーの歌詞群。

ここまで歌詞を聴かせるアルバムは、そうそう無いように思う。

当時のインタビューによると、このアルバムの制作時期の前後、バンドのフロントマンである志磨遼平は非常に病んでいたようだ。

まさにその「病み」を武器にして、こちらへ襲い掛かってくるような歌詞ばかりで面食らう。

多感な時期に聴くほどこのアルバムの魅力にどっぷりとつかってしまうことだろう。

私は中学の頃にこのアルバムを聴いて、毛皮のマリーズというバンドが大好きになった。

高校生の頃、RADWIMPSが大好きな親友にも勧めた。普段私から勧めた音楽はあまりハマッていない様子だった彼が、珍しく絶賛してくれたアルバムの一つで、それも思い出深い。

RADWIMPSの楽曲の歌詞群もちょっとヒネったものが多いから、そういうのが好きな人には気に入ってもらいやすい作品なのかなと思う。

もしかしたらこのアルバムで拗らせちゃう人もたくさんいるのではないだろうか。特に片思いの人とかね。

まあ、その中の一人が私なんだけど。

中学生のころ、バカ拗らせてしまった。その経験の反省を活かして、私は今がんばって生きている。

このMVの中に出てくる変質者と殆ど同様なことを好きな人に対してしていた。

昔の自分を殴りたい。

ある種劇薬的な作品だけれども、素晴らしい一枚。

機会があったら聴いてみてネ。

★この記事は、私が別名義で個人ブログに掲載していた記事を加筆・修正して再構成したものです。



《追記の余談》

このnoteの投稿日である2020年5月22日、元毛皮のマリーズフロントマンの志磨遼平が主宰するレーベルJESUS RECORDSから、謎の覆面バンドが新譜をリリースしたようです。

どう見ても毛皮のマリーズです。

なお、楽曲はThe Damnedの「Neat Neat Neat」という曲のモロパク…オマージュ曲でした。

というか、上の動画のサムネイルからわかるように、ジャケット写真の時点でまんまThe Damnedだった。


本当、時がたっても毛皮のマリーズは相変わらずで、最高だ。

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