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神社が解決する社会問題。

 こんばんは!各地域の神社で秋のお祭りが行われています。そんな神社についてちょっとだけ。何日か前にNHKで「寺と地域の新たなつながり」というコーナーがあり、コロナ禍によってお寺に行く機会が減ったなど、お寺と地域の繋がりが希薄になっている現在において、デジタル化など様々な工夫をしながらお寺と地域の新しい関係性を築くという内容が放送されていた。日本中どこでも見ることのできるお寺は、全国に約77000件とコンビニよりも多く日本人にとって身近な宗教施設といっても過言ではないと思われる。さて、日本人は一般的に無宗教であると言われているが、果たしてそうだろうか?


日本人と宗教


 現在の日本では日本国憲法において、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」(憲法第20条)と定められ、国教は定められていない。また、特定の宗教を信仰していないとして自身を無宗教と認識する者も多いとされている。しかし、文化庁『宗教年鑑』令和3年版によると、神道系が8792万4087人(48.5%)、仏教系が8397万1139人(46.4%)、キリスト教系が191万5294人(1.1%)、諸教が733万5572人(4.0%)の信者がいるとされ、合計1億8114万6092人となる。これは日本の総人口の約1.5倍にあたることから、日本人は信仰心が薄いものの2つの宗教を信仰している人が多いということになる。正月には神社に初詣、お彼岸にはお寺にお墓参りという風に、日本人は神道と仏教の2つの宗教を信仰している人が多いのである。

神社を取り巻く環境


 先日、とある神社の例祭に参列をした際に宮司から言われた一言が「現在、普段から宮司がいない神社が多く、このままでは地域の歴史と共に育まれた文化まで無くなってしまうので、皆さんでしっかりと神社を守っていきましょう」だった。行事ごとに神社に行くことはあるものの、人々の価値観も多様化していることから、神社の関係者にとって深刻な問題になっているのが、氏子の不安定化や一般参拝者の減少と言った「神社離れ」が加速している事です。現在の日本には規模の大きな神社(大社系)と、規模の小さな神社(民社系)が約8万社とお寺よりも多くの神社が存在しています。大社系の神社は高い知名度があり、氏子のみならず全国から崇敬者が訪れるほか、資金を潤沢に持つ崇敬会や企業などが寄付金提供者として存在しており、強い運営基盤を持っていますが、小さな神社は参拝者もなく、氏子も不安定なことから存続が危ぶまれています。 

神社の役割


 かつて、日本には約20万社の神社がありましたが、明治時代に「神社合祀令(複数の神社の祭神を一つの神社にまとめ、その他の神社を廃すること)」という神社を減らす政策があり約7万社がの神社が取り壊されたことがありました。当時その反対運動を行った南方熊楠によると
「合祀は村民の慰安を奪い、人情を薄くし、風俗を害する」
神社が抱える広大な森林域は境内を散策することで住民の慰安となっている。
「合祀は土地の治安と利益に大きな害となる」
天災の際には避難地となり、また境内は子供たちの格好の遊び場である。森林を伐採したことで水が涸れたりするなどの事例も報告されている。
「合祀によって史蹟、古伝が滅却されてしまう」
神社を打ち壊すことで、そこに伝わる古い事歴・古文書・民俗学上の古伝・祭儀上重要な資料などが失われ、国宝級の古物珍品も散逸し、学術研究のうえから大いに支障をきたす。
「合祀は天然風景や天然記念物をも亡滅させてしまう」
古来、神社の森にはその土地固有の自然林を千年来残している者が多く、そのうえ、それら自然林には珍種の植物も自生する。
という主張をしています。簡単にまとめると
・地域住民のコミュニケーションの場
・災害など非常時の避難所
・古来の生態系を留めている
・創建時期が古いものが多く、学術的な価値がある
この4点になり、これは現在の私たちが抱える地域社会における課題の解決方法と酷似していることから、神社がいかに日本社会において重要な存在であったかを再認識させるものとなっています。
 
 

最後に


 各地域にある神社は、数百年から一千年以上の長い時間をかけ、地域の暮らしと一緒に育んできました。神社は、祈りや人生儀礼を通じて絆を深める場所であり、都会の中においては「鎮守の杜」という自然を持ち、日本の伝統を次世代へ伝える存在となっています。人々との絆の尊さ、自然への畏れ、地域に根付いた伝統文化の大切さに気づかせてくれるのも神社の役割の一つです。これからも自然、史蹟、古文書といった物理面だけでなく、「こころ」や「魂」といった精神面における日本文化を次世代へとしっかりと繋ぐ場としての神社をしっかりと守ることによって、風土にあった社会を築き上げていく事が大事であると思っています。


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