見出し画像

■要約≪論点思考≫

今回は内田和成氏の「論点思考」を要約していきます。

BCGの日本法人代表を長らく勤められた方で「仮説思考」が有名な著作です。問題設定の重要技術である「論点」について特化して取り扱い、その思考プロセスや習熟方法・事例を解説している本です。分析や作業・問題解決に特化して実績を上げてきた自分の仕事の振舞い方が足枷になっている現状を顧みて、初心に帰ろうと久しぶりのロジカルシンキング分野の本をピックアップしました。


「論点思考」


■ジャンル:思考法

■読破難易度:低(全体で230ページ程度で平易な言葉遣いと豊富な図解があるので非常に読みやすいです)

■対象者:・問題発見・命題設定に興味関心のある方

     ・○○設計に関わる人全般

     ・不確実性の高い事象に対して答えや方針を打ち出していく必要のある方


【要約】

■論点とは

・「解くべき問題」を論点と呼びます。それ以外の問題に関してはイシューではない・スコープアウトするといった具合に優先順位を下げる・無視するという意思決定をする為に不可欠な思考プロセスであり、問題候補の中から本当に解決するべき問い・お題目を設定することが論点思考です。

※与えられた問題に対して気持ち悪いからとすぐに着手するのではなく、「その問題の背景にあるものは何か?」・「問題を解決して成しえたい世界は何か?」・「そうなった時に解くべき問題は従来の○○なのか?」という思考をする癖をつけることが論点思考の第一歩とされます。


■論点思考のステップ

・下記4ステップを踏むのが望ましいと本書で記述されます。

1)論点候補を拾い出す

2)論点を絞り込む

3)論点を確定する

4)全体像で確認する

・論点思考をする際の重要事項は縦方向の因果関係を繋ぐこと横方向の因数分解をして、課題の絞り込みや構造俯瞰をしていくことがポイントとなります。与えられたお題目に制約をして思考するのではなく、いったん制約を全部取っ払って「何が解決できるといいか?」・「解決できた状態はどんな状態か?」というゴールから逆算して思考するプロセスが有用です。

・論点思考とは「医者が症状から病名や原因を特定するのと同じような思考プロセスを辿る」ということで、その為にはファクトや感覚・価値観などが重要な論点設定の材料になります。論点はコンサルが最も重視するテーマであり、それだけ重要性と難易度が高いものです。加えて、論点は環境変化や人により、変動・進化していく性質があるのは見逃せない視点です。


■論点候補の絞り込み

・論点設定をする際に厄介なのは「論点もどき」が周辺に大量に存在する点です。課題の絞り込みをしないで網羅思考に走るのは失敗事例の典型です。論点らしいものが発生した際は①解決できる論点か?②解決は容易か?③解決したらどれくらいの効果があるか?という3つの軸で優先順位付けをしていくのが望ましいとされます。

※サラリーマンとして論点設定~問題解決をするにあたっては「定性的なものではなく、比較検討可能かつ計測可能な定量的なものであり、かつ再現性の高いテーマ設定」にするのが筋の良さに繋がるとされます。


■お題を与えられた際の論点設定について

・ある命題の問題解決を委任された際には下位論点をいきなり因数分解していくのではなく、「上位概念・上位論点は何か?」を考え遠回りなようでも優先順位付けしていくことが有用とされます。「大論点-中論点-小論点」とブレイクダウンしていき、経験やインパクト(問題解決の定量的な成果)により、優先順位付けする思考プロセスとストーリーが基本とされ、これは実践による経験の累積が何より大切とされます。

・その際には論点同士の関係性が噛み合っているかの観点で構造化をすることが確からしさを高め、重要とされます。

※組織マネジメントにおいて問題解決を委任する場合は「中論点を小論点に因数分解して、小論点を与える・小論点を解決するにあたり有効な筋道や事例を何個か例示して問題解決・問題発見を促す」というのが基本の構図となります。大目的を理解せず、分析や各論に走るのは「自分の感情や利害を優先しており、究極的には課題解決能力が高いとは言い難い」と認定せざるを得ないようです。


【所感】

定量分析や問題解決のHOWに特化して、成果とスピードでゴリ押ししてきた自分にとって上流工程の論点設定や問題設定はそもそもの場数の不足と共に、問題解決に走る(逃げたくなる)気持ち悪さの観点でまだまだ足りなさを感じます。その意味で、本書でも言われているように視野・視点・視界の広さを持つことと狙って論点思考の場数をこなして経験を累積していくしかないというのはシンプルですが、非常に明瞭で方針が定まりよかったと感じています。

・構造俯瞰や優先順位付けをするということは非連続な成長や変革を牽引する際に不可欠のお作法であり、自分が小さくまとまらないために狙って習熟する経験・スキルだというのは強く認識しており本書のような教科書理論もしっかり定期的にインストール・実践していきたいと感じた次第でした。


以上となります!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?