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【ショートショート】#10 職業「正論師」

 今の時代だからこそ必要な職業が最近誕生した。それが「正論師」

 何をやるのか?と言われれば今のネット社会にこの仕事がゴロゴロ転がっている。俗にいう「マウントを取る」とか「論破する」と言うことを頼まれて生業にしている。

 君は次にこう聞いてくるだろう。そんなに仕事が有るのか?とね。それがあるんです。ネットの世界は性別、年齢。そして生き方。生まれた理由。色んな人達が色んな事を思ってい色んな事を書き込める。だからこそそこで衝突が起きるのはもう必然。

 交わらなくてもいい人たちが交わるんだから喧嘩も起きる。鳥の目の前に虫を出しだせば食べるように。それを知ってるから虫は擬態するし、鳥に見つからないように行動するでしょ?

でも、それが出来ないんだ。だって気になるからね。他人の行動、言動、全部が全部。で、そんなの正していたらこの世の中刑務所がいくつあっても、弁護士が何人いても変わらないでしょ?だから僕らの出番ってわけ。

 正論師は国家に認められた職業。言葉であればその人を殺したとしても罪には問われない。だって言っていることは正論なんだから。実際、僕も何人か殺したよ?だってそいつは間違ったことをして間違ったことを言っていんだから何も悪くないよね?

死刑があるんだからいいんじゃない?

 言葉で人を殺してそれで罪に問われないのは人間が「言葉に頼っているから」だから出来ちゃうこと。僕から言わせれば言葉なんてのただの文字だし、ただの空気の振動だよ。
 
だって例えば君が日本人で英語がわからないなら英語で正論言われても何とも思わないでしょ?日本語だから意味が分かるってはなしでしょ?

意味が分かると人を殺せる。なんて素敵なことなんでしょうか?

さてと、そろそろ仕事だ。また一人、今日も殺さなきゃいけない人が炎上している。僕の出番じゃないのかい?きっとそうだろう?

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