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【ショートショート】#2 アンケートアイドルの結末

アンケートアイドル。

 このアイドルは文字どおり「アンケート」によって自分の活動内容を決めるというもの。ファンとの距離が近づいた今らしいアイドルである。この企画が来た時、言われた条件は2つアンケートで選ばれたものは絶対に遂行しなければならないこと、そして、アンケートの内容に関して事務所は口出しをしない。つまり自分で内容を考えること」だった。

 香花は「アイドル戦国時代」に何も取柄のない自分が飛躍できるかもしれないそんなチャンスの到来に心が動いていた。事務所のオーディションに受かったのはいいのだけれど、鳴かず飛ばずでヤキモキしていた。

 こんなチャンスはめったに無い。香花は二つ返事で「わかりました」そしてマネージャーからこう言われる。「アンケートが実施されるのは一週間後です。それまでにアンケートを考えておいてね」私はその日公園のベンチで明るくなるまで内容を考えていた。

次の日私は考えた案をマネージャーに渡す。

「出来ましたか?・・・どれどれ・・・いやーすごいですねこうしちゃますか?」

 マネージャーは笑っていた。私はそのアンケートをファンに渡して選んでもらった。私のファンは私のことを思って投票してくれた。私もうれしかった。しばらくすると、マネージャーが部屋に入ってきた。

「香花さん、結果が出ましたよ!」

私はマネージャーのほうを見た。

「一週間後、私はマイクを手に取ったふりをした」

一ノ瀬香花「いちのせ こうか」は今、武道館のステージに立っていた。

多くのファンに囲まれて歌を歌う姿は、私の憧れていたステージ。

「夢が叶った」そう思える瞬間だった

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