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【私への手紙】オトコとオンナのおとぎ話 #2


…つづき

淋しさでポッカリ空いた心を、誰かに埋めてもらいたくなった。
とにかく今は、淋しい気持ちを紛らわしたかった。

『本気の恋』より、『気軽な恋』を選んだ私は、毎回その場しのぎの最低なオンナになった。

「これで良かったんだよ。」と、そう自分に言い聞かせてきた。
『気軽な恋』は、傷つくことがないと思っていたからだ。
けど、それは大間違いだった。

私が選んだ『気軽な恋』も、傷つくことを知った。
相手を傷つけてしまうことが、こんなにもツライなんて初めて知った。
そして、結果的に『自分で自分を傷つけている』というこなんだと気づいた。

ヤるためだけに、わざわざ入ったラブホテルの休憩と同じ。
一時的な欲を満たしたら、もう終わり。
シャワーで全てを流すかのように『休憩』という名の私は、一時的な幸せさえも流してしまっていた。
『宿泊』という名の長期恋愛も、相手も、できなくなってしまった。

私から離れたオトコたちは、『宿泊できるオンナ』の元へと行ってしまった。
そして私は、誰からも必要とされない存在になっていた。

どんどん最低なオンナになっていく。
自分を好きになれず、相手も自分も大切にできず、
そんな自分のことが大っキライ。

ゲームオーバーになった過去の恋愛を、私はずっとコンティニューしようとしてる。
それは前向きなやり直しなんかじゃない。
「過去に戻りたい」という気持ちに執着しているだけ。
まるで、過去の亡霊に取り憑かれているかのように。

過去に戻ることなんて、できないのにね。
アイツは、私との時間も思い出も、とっくにリセットしてるのにね。

「私、ホントにバカだ。」
「なにやってんだよ。なにがしたいんだよ。」
「なんで、過去を思い出しちゃうの?」

そうつぶやき、夜空をふと見上げた。
涙が頬を伝っていく感触が、不思議とアイツの手の感触に似ていた。
満月の光はとても眩しく、そして、やさしい光で私を包んでくれた。

つづく

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