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成長期女子アスリートの「不必要な体重管理」

「ジュニア選手は軽いほうが速くなる。小さいほうが強くなる。」
え? いつの時代の話ですか、それ?

ジュニアアスリート子育て塾の松田幸子です。


長年、ジュニアアスリートのサポートをしていると、男子が多い年、女子が多い年と波があります。


去年から今年は女子選手を多くサポートしています。女子選手の初回セッションでよく、相談されるのは

体重管理


です。体重管理は男子では増量が多いですが、女子は圧倒的に減量が多いです。私は特に競泳をみていますが、体脂肪が他競技に比べて多く分布ことがわかっています。その競泳でも同様に体重管理を極端に行うコーチがいないわけではありません。

ここで東京五輪200m背泳ぎ 銅メダリストのエミリー・シーボーム選手(オーストラリア)のInstagramを紹介します。彼女が摂食障害を告白したのは2020年1月1日でした。東京五輪の1年半前です。


私は2年以上、摂食障害でした。 過食嘔吐や下剤を飲んだり、カロリーを気にし、食事を抜いて、常に体重をはかり、洋服を着た自分が恥ずかしく、鏡で自分の体をいつもチェックしました。より速く泳ぐことができる唯一の方法は体重を減らすことであると言われ、私はそれを信じました。

Instagramに掲載されている取り組みのサイトはこちら ↓


比較的、摂食障害が少ないと言われている競泳でも世界のトップ選手が摂食障害になっている現実。そして日本でも同じ事がジュニア選手に起こっています。

お前、太ったんじゃ無いか?
細い○○選手の方が、タイムがあがってるじゃないか!
全国大会に出たいなら、2kg体重を落とせ!


言葉の違いはあれど、このような言葉を指導者から女子選手は言われます。

そのため、不必要な減量をしている選手が多く、成人での摂食障害に苦しむスタートを切ってしまうのがジュニア世代の女子です。


以前、ある選手に送ってもらった食事写真には


山盛りの千切りキャベツ


がメインに写っていました。なぜか聴くと、指導者から体重が増えすぎと言われたとのこと。『彼女なり』に、指導者の言葉を受け止め

  • 今のままでは体重は減らない。

  • そして練習が思うように出来ない。

  • それだと全国大会に出場できなくて、コーチの期待にそえない。


いつも練習をみてくれる指導者の期待に応えたいという気持ちが、選手の原動力になり、山盛り千切りキャベツを選択させたのです。もし、指導者の一言が、違う言葉がけだったら、選択肢は変わっていたかも知れません。

まだ、食べていただけよかったですし、嘔吐もしていなかったのが救いでした。(その後、食事改善しています)



先日、全日本柔道連盟が全国小学生学年別大会を2022年度から廃止するニュースが入ってきました。


それを受けて、オリンピアンがSNSに見解を述べていましたが、概ね賛成でした。

また、日本スポーツ協会(JSPO)、4月22日の理事会で、JSPOが主催するスポーツ少年団の全国大会の中止を検討したそうです。


これを小学生を中心とした、ジュニア指導者がどう受け取るか、私にはわかりません。

1つ言えるのはスポーツの在り方がどうなのか、子どもの周りにいる大人の考え方がどうなのかの方が、気になると言うことです。


子どもの周りの大人は、指導者だけと思われがちですが、それ以外に、家族や、その選手を取り囲む大人全般という意味で私が考えています。




子どもが小学生では強かったのに、中学・高校で勝てなくなった。
小学生では全国大会に出ていたのに、中学・高校では全く出れなくなった。


この言葉、スポーツ現場ではよく聞く言葉ではないでしょうか?

この言葉には「周りの大人の期待と落胆」が受けて取れます。

では、子どもの気持ちはどこにあるのでしょう?


伸びなくなるのは、必ず理由があります。そのきっかけを指導者である大人、そして、育てている親御さんが見過ごして、放置していたら、どうでしょう。

また、伸びている子どもに不必要なプレッシャーを与え続けることが、成長する材料になるとも思えません。その一例が、今回のテーマの不必要な体重管理です。


女子選手の多くが、一度は体重に触れられたことがあるでしょう。もちろん必要な体型管理はあります。あくまでも必要な場合です。そして管理の仕方は「体重を減らす」ことだけではないことも触れておきます。


なぜなら、1つの試合で結果を出すだけが、選手の人生において、一番の目的ではないからです。それがジュニア選手であれば、尚更だと思っています。


1人でも多くのジュニア選手が、自分がやっているスポーツを好きだと思い、続けたいと思える環境作りが出来ること。

それが願いです。

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