コラムタイトル__復元_-09

デザイン経験だけだった僕が、初めて加わった新規事業で学んだ30のこと。

こんにちは!松井(@matsui__1987)です。
年末年始に実家に帰り、ぼんやりと今後のことを考えながら書いています。

タイトルの通り、これまで新規事業やサービスの立ち上げに関わることが何度かあったので、今までの経験を整理する意味でも本記事を書いています。

当時の反省も踏まえてまとめていますので、偉そうなことを言っていますが、出来ていたことはごく僅かです…(汗)

本記事が少しでも、ご自身の活動のヒントになりましたら幸いです。

本記事の内容について
サービス、プロダクトを扱うBtoBの新規事業を対象としています。
時間軸としては、事業の立ち上げ時期の内容を中心にまとめています。※情報の抽象度を少し上げています。

目次
1.誰のどんな課題を解決したいかを考える
2.どのように解決するかを考える
3.解決後どんな状態を目指すかを考える
4.事業を取り巻く市場環境を考える
5.プロダクト・サービス内容を考える
6.事業の優位性や差別化を考える
7.発生しうるリスクと対策を考える
8.どのような人員・体制で行うかを考える
9.開発・事業運用にかかる費用を考える
10.初期に必要な投資金額を考える
11.資金と人をどのように獲得するかを考える
12.収支予測と投資計画を考える
13.プロダクトの仕様とデザインを考える
14.サービスフローを考える
15.ターゲットの深堀と販売手法を考える
16.広告プロモーションを考える
17.必要なツール・ドキュメントを考える
18.導入後のサポートを考える
19.販売・生産・サポート体制を考える
20.チームのルールを考える
21.チームのマネジメントを考える
22.顧客体験を考える
23.トラブルやイレギュラー時の対応を考える
24.リカバリーの仕組みを考える
25.プロダクト・サービスを改善する仕組みを考える
26.顧客の満足度を上げる仕組みを考える
27.顧客単価を上げる仕組みを考える
28.業務提携・代理店展開を考える
29.課題の大きさと事業ライフサイクルを考える
30.並行する事業とジレンマを考える
さいごに ~事業におけるデザイナーの可能性~

1.誰のどんな課題を解決したいかを考える

最初に社会や市場の、どんな課題を解決したいのかを考えてみました。
社会や市場において、起きている課題に対し何ができるのか。実際に自分が肌で感じた課題であれば、内発的動機も強くなります。
ここに事業のミッションが見えてくると感じました。

2.どのように解決するかを考える

課題を明確にした上で、具体的な戦略・戦術、仕組みを考えてみます。課題解決の方法論が見えてくれば、提供すべきバリューや根底に置く価値観も定まってきます。

3.解決後どんな状態を目指すかを考える

解決後に社会、市場、顧客、仲間、それぞれが、どんな状態を目指すのかを考えてみます。これらを具体化することで、事業のビジョンが見えてきました。

4.事業を取り巻く市場環境を考える

次に、これから参入する市場がどんな状況なのかを考えました。どれくらいの市場規模があるのか、成長率はどうなのか。参入障壁や競合状況、国の政策状況などを見ることで、戦略もより具体的になってきます。

5.プロダクト・サービス内容を考える

先ほどの「課題に対する解決策」を細分化し、どのようなプロダクトやサービス(仕組み)が必要なのかを考えました。提供すべき価値や体験を明確にしていくことで概要を描いていきます。

6.事業の優位性や差別化を考える

今度は顧客の視点から、競合と自分たちを比べた際、何が優位性になるかを考えてみます。また、競合との違いから差別化できるポイントや、自分たちのポジショニングを定めていきます。

7.発生しうるリスクと対策を考える

ではまた別の視点から、市場環境や技術の変化、競合の動きなどから、自分たちの脅威になることを洗い出してみます。それぞれに中長期での対策シナリオを考えておきます。

8.どのような人員・体制で行うかを考える

実際にプロダクトを作る人、販売する人、提供する人など、どんな人が何人必要か(最低人数)を考えてみます。必要な人材・能力を定義し、後の採用活動やパートナー開拓、チームの評価、育成の指針にします。

コメント
僕は社内の新規事業でしたが、この辺から「もし個人でやるとしたら」という想定のもと、仮説を立てながらシミュレーションしていました。僕の場合、営業、デザイナー、エンジニアの3名想定で、各人2つ以上職域を兼任する想定で考えました。庶務・会計業務などはアウトソースします。

9.開発・事業運用にかかる費用を考える

僕は社内での新規事業でしたが、プロダクトやサービスの立ち上げにどれくらいの費用がかかるのかを考えてみました。開発時の費用だけでなく、運用時にかかる人件費やインフラ、外注費、その他必要経費などの維持費を試算してみます。

10.初期に必要な投資金額を考える

先ほどの費用の試算を基に、初期でいくら必要かを考えました。事業として損益を超えるまでにかかる運用資金(マイナス分)も含めて考えてみます。

コメント
計算が少し甘めですが、初期1500万で計算しました。3名で自宅スタートさせ6ヶ月目から売上がたつ想定で計算してみました。入金タイミングとフロー、ストック収益を考えて12ヶ月目で単月黒字化を目指しました。

11.資金と人をどのように獲得するかを考える

僕の場合はシミュレーションとなりますが、必要な資金と人材が見えてきたら獲得方法を考えてみました。なるべくスモールスタートを意識し、資金は、メンバーの自己資金の活用と、足りない分は銀行や金融機関からの融資で賄う想定でした。出資はあまり考えず自治体制度の活用などを検討しました。人材であれば、まずは知人・リファーラル。3人目以降もダイレクトリクルーティング(SNS)など、お金をかけずに採用する方法を考えていました。

12.収支予測と投資計画を考える

プロダクトやサービスの提供時、発生する費用や売り上げ、そのタイミングを考えてみます。契約中に継続的に費用や売り上げ発生するものであれば、仮で離反率を設定し試算してみます。生まれた事業利益をどこに投資し、事業を伸ばしていくかを考えます。

コメント
投資計画を立てるためには、俯瞰して成長戦略が描けていないと、結果場当たり的な税金対策やリソース補填などに回ってしまうなと感じました。

13.プロダクトの仕様とデザインを考える

次にプロダクトのネーミング、ロゴ、タグラインなど、重要な要素から考えていきました。そこから、プロダクトにどんな機能を持たせるか、画面設計や導線などを詰めていきました。ユーザーの行動を考えながら最適なインターフェイスやインタラクティブを設計していきます。

コメント
最初にできたものに、多くのフィードバックが加わり形になっていきました。世間で言われているプロトタイプの重要性を再認識しました。最初はある程度、汎用性を持たせ拡張していく形が一番効率が良いと実感しました。

14.サービスフローを考える

ある程度全体像が見えてきたら、サービス提供が始まり、継続的なサポート、解約に至るまでの全体像を考えてみます。その過程でどんなコミュニケーションを取りどんな体験を提供するのか。接点を細かく分解して考えていきます。

15.ターゲットの深堀と販売手法を考える

次に誰に販売するのか、メインターゲットの行動特性やインサイトを考えてみます。そこから販売チャネルやアプローチ方法を考えていきます。クロスチャネルで行う場合は、マーケとセールスなどの連携も考えてみます。

16.広告プロモーションを考える

ターゲットに対し有効な広告の配信方法、表現方法を考えてみます。対外的に打ち出す内容により、初期のブランドイメージが決まってくるので前段の内容をおさらいしながら考えてみます。ファネルごとに最適なアプローチを設計していきます。

17.必要なツール・ドキュメントを考える

ここまで来たら、事業を運営する上で必要なものを考えてみます。サービスの説明資料、パンフレット、Webサイト、広告物、料金表、契約書などから、プロダクトやサービスにおける仕様書や、マニュアルなど。たくさん作るものが出てきます…。

18.導入後のサポートを考える

相談窓口の開設や、定期メール、会員ページの開設など納品後のサポート体制を考えてみます。定期的に接点をもつ仕組みをつくることで、満足度を上げるだけでなく商談機会を作っていきます。

19.販売・生産・サポート体制を考える

各チームの役割と連携方法、顧客との関わり方(提供価値)を明確にしていきます。各体制に必要な仕組みを考え、業務フロー上での接続方法だけでなく、データとの接続も考えてみます。

20.チームのルールを考える

今度はパフォーマンスを上げるために、最低限あった方が良いルールを考えてみます。行動基準や最適な業務フローを定めたり、必要なMTGや意思決定の方法、報告・相談などの仕組みを設計していきます。

21.チームのマネジメントを考える

チームと各人の目標(役割)を設定し、成果と評価を考えてみます。定期的にすり合わせをし、業務改善をしながら必要な教育制度や業務環境を整えていきます。

22.顧客体験を考える

提供を開始して暫くしたら、顧客からのフィードバックを基に各タッチポイント(接点)での顧客体験を時系列に並べてみます。その内容から、広告の訴求方法やサービスの提供体制を改めて考えてみます。

23.トラブルやイレギュラー時の対応を考える

提供を開始すると想定外なことも多く発生します。値引き交渉やサービス規定外のニーズが発生したり、品質に対する不満からクレームに発展したり…。そんな時にどのように対応すべきか一つひとつ対応をログ化していきます。

コメント
実際には都度対応が多かったですが、ある程度運用が進むと傾向がつかめてきたので、仕組み化することで回避できたことも多いと考えています。

24.リカバリーの仕組みを考える

販売計画や必要予算などの目標値とズレが発生した際に、原因の傾向を見ていきます。原因の傾向に合わせ、事前に予測・対策する仕組みを考えてみます。

25.プロダクト・サービスを改善する仕組みを考える

顧客からのフィードバックやアクセス解析などから、プロダクト・サービスを定期的に改善する仕組みを考えてみます。アンケートやユーザーテスト、競合調査などから継続的に改善していきます。

26.顧客の満足度を上げる仕組みを考える

前述とも繋がりますが、顧客が何を求めているか、期待値との乖離や上振れがどこで発生しているのかを考えてみます。また、満足度ごとにセグメントし、対応方針と内容を設計してみます。

27.顧客単価を上げる仕組みを考える

満足度が高く投資意欲のあるお客様に対しては、上位プランの提案やクロスセルの仕組みを考えてみます。他の事業との親和性が高ければ接続もスムーズになります。

コメント
最初はサービスやプロダクトのバリエーションを出し多く利用してもらうという観点(消費視点)が強かったですが、振り返ってみると…投資効率を上げるという観点が弱かったなと感じています。

28.業務提携・代理店展開を考える

事業の持っているバリューを活かして相乗効果が発揮できそうな企業や事業がないか考えてみます。僕の場合は、ターゲットは同じだけど提供範囲が異なる企業がないか探していました。代理店展開の際には、代理店用の提案書や管理画面、レクチャーマニュアルなどもまとめ、動機づけも兼ねて何度も足を運びました。

コメント
代理店展開は想像していたようには行きませんでした…。代理店に対し自発的に動いてもらうには、プロダクト自体の解りやすさと強さ(それだけのメリット)が必要だと感じました。ここは今後もう少し掘ってみます。

29.課題の大きさと事業ライフサイクルを考える

改めて事業を俯瞰してみてみます。事業が解決したい課題が普遍的なものなのか、テクノロジーや市場環境の変化によって解決するものなのか。どれくらい社会から必要とされ続けるのか、事業の寿命を考えてみます。
僕の場合は、ある程度伸びていった事業が次第に伸びなくなり、初めてライフサイクルを目の当たりにしました。

30.並行する事業とジレンマを考える

最後は少し語り口調で振り返ります…。
立ち上げ期から暫く経って、権限委譲を進めた僕は少し俯瞰して観られるようになっていました。資金投資によって成長過程を短縮できることやイグジット(売却)の視点があることを学びました。
現場ではその事業のために採用された人達で組織・文化ができて来ていました。そんな中ライフサイクルの過程で、事業が大きく変わらないといけないタイミングで、既成概念から抜け出せなくなるのを感じました…。大企業でなくても、イノベーションのジレンマはあるんだと実感しました。

さいごに ~事業におけるデザイナーの可能性~

最近、デザイナーの関わる領域として、サービスやコミュニケーション、コミュニティなど対象物が大きく変わってきていると感じています。
僕が事業に関わった時も、デザイナーは「事業もデザインできるのはないか」という仮説のもと挑戦してきました。
その過程でたくさんの可能性を発見できました。全ての間に発生するコミュニケーションにおいてデザインは掛け算が効くスキルだと実感しています。

2020年はもっと、事業家に寄り添って成長を支えるデザイナーを目指していきます!長文にお付き合い頂きありがとうございました。

m(_ _)m

たくさん勉強して、実践した事を、たくさんアウトプットしていきます!なにとぞ<(_ _)>