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文学研究

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基本的に資料収集と読解です。地味。もっとも、中には世界中でここにしかない情報も……。
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#山科春樹

幻の長編から未発表短編まで(『飛火野耀 読本』より)

 デビュー作『忍耐の祭』(1979年12月)から再デビュー作『イース』(1988年3月)まで。空白に思えた期間も、作家は書き続けていた。
 本項では知られざる長編1作と短編3作について触れていこう。
 願わくば、作家自身か著作権継承者と連絡がつき、本として刊行されますように。

 ・幻の第二長編(1983年) あるものは油断なく敵を警戒し、あるものは愛し合い、あるものはあてどない夢を見ていた。そし

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風説の流布、及び保存(『飛火野耀読本』ミニコラムより)

 覆面作家、飛火野耀とは誰か?
 その正体が山科春樹であると判明するまで、いくつもの噂が流れた。
 ひるがえって、2021年。それらの噂を信じる者は、もはや居ないと言っていい。
 風説の流布が起こったのは二十年近く前。インターネットが黎明期を脱し、誰もが知るようになった頃のことだ。
 当時を知る者の記憶はしかし、今となっては薄れつつある。ゆえにここで、その痕跡を残しておく。あくまでも風説であると留

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飛火野耀データベース

「自分が消息不明になったら飛火野耀研究は大きく後退するな……」と冷静に考えまして、”2021年1月現在の資料面での全発見”をひとまず書き残しておきます。未収録作品に同人誌と、かなりの程度知られていない側面が残っていると分かります。
 ただ、時期未定ですが研究成果を電子書籍にまとめる予定はあるため、現時点では保険の意味合いが強いです。「初回限定盤に払う余裕がある人」「研究成果の結実を待ちきれない人」

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