見出し画像

不惑の韓流女優シリーズ③「コン・ヒョジン~個性的≒自由×解放のアイコン」

「赤毛のアン」、「長靴下のピッピ」、「若草物語」のジョー、世界中の少女たちを夢中にさせた物語の主人公です。

 これらのヒロインに共通するのは、周りから浮いてしまうくらいちょっと変わった女の子、つまり個性的な少女だということです。
 彼女たちは、自由な発想で、突飛な行動をしますが、最終的には周囲からも理解され、愛されます。そんな主人公の物語は、大人になったら、女性を取り巻く現実は厳しいことを薄々感じている少女たちに、個性的≒自分らしくあることは、自由と開放への道なのだと示してくれるバイブルにもなっているのです。

 もちろん、現実はそんなに甘くはありません。
 少女のうちは、ちょっと変わってる個性的な子だと言われても、大人になるにつれ、良識、いいかえればつまらないい常識に合わせることを求められます。昔少女だったころのように、自由な感性を保つこと自体が難しいのは、誰でも容易に想像つくことであります。
 しかし、それでもなお、大人になっても、アンやジョーのような個性的な女の子は、わたしたちの永遠のヒロインのままなのです。

 シリーズ第3回は、コン・ヒョジン、1980年生まれ、40歳。
韓国では、「コンブリー」「視聴率の女王」といわれる人気のある女優さんですが、彼女の魅力はそのちょっと変わっている『個性』をそのまま持ち続けていることだと思います。

 コン・ヒョジンは、自分は美人ではないので、まさか女優になれるとは思っていなかったと回想していますが、まるで、アンやジョー、ピッピがそのまま大人になったようなビジュアルは、ラブリーな魅力に溢れていて、今や押しも押されぬトップ女優です。

 コン・ヒョジンの受賞歴は、映画でもドラマでも華々しいものがあります。最近では、2019年に放送された「椿の花咲く頃」は、地上波ドラマとしては、大ヒットとなり、KBS演技大賞の大賞を受賞、第15回(2020)ソウルドラマアワードでも、女性演技者賞を受賞しています。

そして、彼女のセンスが冴える個性的なファッションは、韓国女性の憧れの的で、ドラマで着る服はすべて完売するという伝説さえ生んでいるのです。

 これも、考えてみると凄いことで、コン・ヒョジンの出演作は、意外と社会派なものが多く、そのときどきの世相を反映していますが、「椿の花咲く頃」のトンべクも、シングルマザーでスナックの女主人でした。けして、財閥令嬢や御曹司に見初められるシンデレラなんかではないのです。
 そういう平凡なヒロインのファッションを、非凡に着こなして、完売させてみせる影響力こそが、彼女の真骨頂でもあります。

 女性にとって、ファッションは、単なる見てくれではありません。自己主張の最たるものであり、自分がいいと思えば、他人になんと言われようと押し通すというテーゼを持ったロックな生き方が背景になければ、いくら個性的でも、カッコイイとは思われないのです。特に、大人の女性は、ちょっと変わったセンスであっても、それを取り入れようとはならないのではないでしょうか。

 そう考えると、コン・ヒョジンのファッションが、現実を生きる多くの平凡な女性からたくさんの支持を得ているのは、まさに「me  too」であり、それはとても非凡なことなのだと思うのです。

コン・ヒョジンは、自分らしく個性的でありたいと願う少女的なビジュアルと感性を持ち続け体現することによって、自由と解放のアイコンになっているのだと思います。

この「椿の花咲く頃」は、韓国では社会現象にまでなったといいます。主人公トンべクは、シングルマザーでスナックの女主人、周囲からは好奇と偏見の目にさらされています。しかし、それにも負けず、自分の母や子の父、恋人やその家族との関係性を、これからの未来の新しいあり方に変えていく様子が描かれています。財閥が出てこない普通の庶民の生活を描きながら、心のあり方、考え方を変えることで、新しい社会がつくれる。そしてその力は、もう一人一人が既にもっているものなのだという、「エンパワーメント」を描き、韓国社会の内なる変革を訴えた社会派ドラマなのです。
コン・ヒョジンは、この役は誰にも譲りたくなかったと言っていますが、その言葉通り、見事に演じ切りました。

最期まで読んでくださってありがとうございます。誰かに読んでもらえるなんて、それだけで嬉しいです。もし、気に入っていただけたら、スキしていただければもちろんもっと嬉しいです。よろしくお願いします。