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ソクラテス以前読本

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A Presocratics Readerの試訳です。 https://www.hrstud.unizg.hr/_download/repository/Curd,_A_Pre… もっと読む
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7. エレアのゼノン

7. エレアのゼノン

エレアのゼノンの生涯について私たちが知っていると思っていることはすべてプラトンの対話篇である『パルメニデス』に由来する。プラトンによれば、ゼノンはパルメニデスよりだいたい25歳くらい若く、パルメニデスの哲学的友人であると同時に愛人でもあったと報告されている。プラトンの主張を受け入れるならば、ゼノンは紀元前490年頃の生まれであり、パルメニデスとともに450年頃アテネを訪問したが、その当時ソクラテス

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6. エレアのパルメニデス

6. エレアのパルメニデス

※※以上の"A Presocrated Reade"の6.パルメニデスの訳です。比較的自由に訳しています。不十分な箇所があれば後ほど修正します。

エレアのパルメニデス(エレアとはいまのナポリの近くにある、今日ではヴェリアと呼ばれるイタリアの町である)の生涯に関する最も信頼の置ける報告によれば、パルメニデスは紀元前515年頃に生まれた。ディオゲネス・ラエルティオスが言うには、彼はクセノパネスの弟子

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5. エフェソスのヘラクレイトス

5. エフェソスのヘラクレイトス

※以上の"A Presocrated Reade"の5.エフェソスのヘラクレイトスの訳です。比較的自由に訳しています。不十分な箇所があれば後ほど修正します。

ディオゲネス・ラエルティオスによれば、エフェソスのヘラクレイトスは紀元前540年頃生まれた。この都市の一貴族の家柄の一員であったが、貴顕につきものの政治的生活に背を向け、支配する立場を受け継ぐや弟に譲った。古代世界では、ヘラクレイトスは人間

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4. コロフォンのクセノパネス

4. コロフォンのクセノパネス

※以上の"A Presocrated Reade"の4.コロフォンのクセノパネスの訳です。比較的自由に訳しています。。不十分な箇所があれば後ほど修正します。

クセノパネスの生まれたコロフォンは、いまではトルコの西海岸沿いの都市であり、ミレトス(タレス、アナクシマンドロス、そしてアナクシメネスの故郷である)とエフェソス(ヘラクレイトスのいた都市である)に近いが、そのクセノパネスは吟遊詩人兼哲学者で

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3. ピタゴラスと初期ピタゴラス主義

3. ピタゴラスと初期ピタゴラス主義

※A Presocratic Readerの試訳です。ピタゴラスの個所は一部私には理解できませんでした。誤訳もありそうです。後に可能であれば修正します。

ピタゴラスは、紀元前570年頃東エーゲ海のサモス島で生まれた。伝承によれば、父親は宝石職人か彫刻師であった。伝えられるところでは、ピタゴラスはエジプトとバビロニアを旅し、サモス島を530年頃暴君ポリクラテスの支配を逃れた。ついにはピタゴラスはイ

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2. ミレトス学派 3. アナクシメネス

2. ミレトス学派 3. アナクシメネス

※※以上の"A Presocrated Reade"の 2.3. アナクシメネスの訳です。比較的自由に訳しています。

古代の伝承では、アナクシメネスはアナクシマンドロスの後輩か教え子であった。アナクシマンドロスと同様に、彼はタレスの唯一の原初的物質があるという説に同意する。しかしこの原初的物質が何なのかについては、彼はタレスともアナクシマンドロスとも袂を分かつ。彼はこの根本的物質をアエルと呼ぶ(

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2. ミレトス学派 2. アナクシマンドロス

2. ミレトス学派 2. アナクシマンドロス

※以上の"A Presocrated Reade"の 2.2. アナクシマンドロスの訳です。比較的自由に訳しています。

ディオゲネス・ラエルティオスの言うところでは、アナクシマンドロスは紀元前547/6年には64歳であったが、この年代決定はアナクシマンドロスはタレスの弟子または支持者であったという古代の諸々の報告と一致する。アナクシマンドロスは初めて世界地図を作製し、晷針(きしん;古代の天文観測

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2.ミレトス学派  1. タレス

2.ミレトス学派 1. タレス

※以上の"A Presocrated Reade"の 2.1.タレス の訳です。比較的自由に訳しています。

タレス、アナクシマンドロス、それにアナクシメネスはいずれもイオニア(現在のトルコ西海岸)のミレトス市出身である。彼らはミレトス「学派」哲学と称されるものを形成している。伝統的報告では、タレスはアナクシマンドロスの師であり、アナクシマンドロスは今度はアナクシメネスの師となった。アリストテレス

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1.序章

1.序章

※以上の"A Presocrated Reade"の 1. Introduction の訳です。比較的自由に訳しています。

1.序文
古代の伝統の伝えるところでは、ミレトスのタレスは日食を予言した。このように言われている予言については、私たちの誰も詳しくは知らないけれども、この出来事(紀元前585年の日食)は伝統的には西洋思想における哲学と科学の端緒であったと位置づけられている。アリストテレスは

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