まつもと子どもたちの映画祭7

 随分前のことになってしまいましたが、3月20日に長野県は松本市で開かれた「まつもと子どもたちの映画祭7」(以下、まつもと)に行ってきました。タイトル通りもう7回目。にもかかわらず、私、恥ずかしながらこの映画祭のことは知らなかったのです。松本でも子ども映画祭があるみたいだよ、と教えてもらい、急遽行ってみることにしました。サイトをチェックしていると、過去の映画祭は大盛況の模様。広い会場が子どもたちでいっぱいの写真がアップされていました。うちの映画祭(京都国際子ども映画祭)もこんな風になりたい・・・と羨ましい限り。実際にどんな映画祭なのか肌で感じたかったのと、もし可能ならば、こんなに大賑わいな映画祭の秘訣をお聞きしてみたい。そんな思いで松本へ向かいました。授乳中だったので日帰り!

 京都駅から新幹線で名古屋へ、名古屋でワイドビューしなのに乗り換えます。そしてワイドビューしなの内で再びサイトをチェックしていると、衝撃の事実!午前中に開催される幼児向けのAプログラムの前売り券が完売したとのアナウンスが載せられていました。そんなに人が来るのか!なんとも羨ましい・・・。もはや羨望の的となった映画祭の会場は、伊東豊雄建築のオシャレな建物、まつもと市民芸術館。中に入ると受付にて、感動の光景が。というのも、小さな女の子を抱っこしたお母さんが、「Aプログラムは完売って聞いたんですけど、この子がどうしても映画観たいって言うので、Bプログラムのチケットをください。」と言っていたのです。女の子の年齢的に、幼児向けのAプログラムを見たかったんだと思いますが、小学生以上向けのBプログラムでもいいから見たい!と。そう思えるほどに、この映画祭は魅力的なのか!なんだか謎に泣きそうになりました。うちの映画祭もこんな風に思ってもらいたい・・・。

 ジーンとした気持ちで受付をすませ、ホールに向かっていると、ホワイエではいろんなブースが出ていました。「キッズ・ストリート」と名付けられたその場所には、ぬりえコーナーや体感ゲームブース、キャラクターグッズや雑貨などが購入できるお店も。大道芸人もいました。映画鑑賞の前後も楽しめる、ばっちり子ども心を掴んだ環境。こりゃ子どもたちも楽しいよな、と思わずにいられない。主ホールの扉を開けると、1800人入るという客席が満席!!!小さいお子さんと親御さんたちで溢れかえっていました。なんて素晴らしい光景なんだ・・・。見渡すと、抱っこ紐で抱っこされている赤ちゃん(明らかに1歳以下)の姿も。こんなに小さいときから参加できる映画祭って素敵だなぁ、と心底感動しました。

 時間になると、司会者の方が登場。地元テレビ局の女子アナさんのようです。自己紹介を済ませると、映画監督になった気分で、「よーい、スタート!」とみんなで言って映画を見ましょう!ということで、まずは練習。そして2回目で上映スタート。声を出すことで緊張もほぐれるし、みんなで声を合わせることで鑑賞前に会場の一体感を作れる。映画祭ならではの盛り上げ方だと思いました。作品の上映が2本ほど終わると、会場が明るくなり司会者が登場。作品の吹替え担当した声優さんも一緒に登場し、吹替を実演してみせてくれたりしました。その後も、2本ほど上映すると司会者が登場し、作品のキャラクターの着ぐるみと会場のみんなが歌って踊ったり、大道芸人のパフォーマンスがあったり。作品を一気に上映するのではなく、合間にこういった小休憩を挟むことで子どもたちの集中力もリセットされるだろうし、単純に楽しいだろうな、と思いました。

 午前中のプログラムが終わりホールを出ると、子どもたちはキッズ・ストリートの各ブースに並んだり遊んだりで大騒ぎ。まさにお祭り。午後の小学生以上向けプログラムも、午前と同様の進行、同じく大盛況でした。プログラムの間のお昼の時間に、ほんの少しだけ、映画祭の方にお話を伺うことができました。最初は200人収容の会場に800人も人が来てしまったこと、テレビ信州でCMが放映されるので全県民が知っていて、長野県中から人が来ることなど、羨ましすぎるお話の数々。映画祭のお忙しいときだったので、もっともっとお聞きしたいことはあったのですが叶いませんでした(お忙しいときにありがとうございます!)。そしてそして、機会があれば、というか機会を作って、まつもと子どもたちの映画祭の方にはもっともっといろんなお話を聞いてみたいです。

 この映画祭に参加して、幼児向けプログラムを作りたい思いが一層強くなりました。そして、まつもとのように、小さい子どもたちもお母さんも楽しく参加できるプログラムを!という願望の結果、今年は京都国際子ども映画祭でも幼児向けプログラムを作ることができました。まつもとのような集客はできませんでしたが・・・。今回のように、他の映画祭に足を運んでみることで自分の映画祭に活かせることがあると身を以て体験したので、これからも時間とお金が許す限り、いろんな映画祭に行きたいと思います。


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