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いつも頼めないメニュー。

私がよく行く喫茶店がある。

そこは極力おしゃべりせず、静かに過ごせるよう心がけてる喫茶店。
入ってくるお客さんに、予めおしゃべりはお控えいただくよう店員さんが声をかけている。
私が行くと、いつもその店員さんがいる。
恐らくその方は店主さんで個人でお店を持ち、運営されてるようだ。

しゃべり好きな私も、たまには喋らずに本を読んだり、考え事したりするときにその喫茶店に行くのだ。

朝、坐禅をし、僧のお話を聞いたあと、少しお散歩して、この喫茶店でカフェラテとチョコパンを食べながら、本を読むという午前の流れがなんとも整った感じがして好きなのだ。

サウナでいうあの整った感じ笑

この喫茶店の内装の雰囲気も好き。
窓から太陽の光が入ってくる。
そして沢山の本がある。
古民家によくあるような家具や食器たち。
私の祖父の家にあったものと少し似ているからか、この喫茶店に入ると祖父の家と同じ匂いがする。
祖父は朝コーヒーを淹れて、表面がカリカリになったトーストにカリッカリッと音を立てながらバター塗り食べていた。
私が小学2年生まで一緒に住んでいた。

家具とコーヒーとトーストの匂いなのかな。
喫茶店に入ると匂いから、私は一気に美味しそうに食べてた祖父のことを思い出し、なんだか懐かしい気持ちになる。
おまけに私が大好きなジャズがいつもお洒落にゆったりとかかっている。

そしてメニューは手のひらより一回り大きいサイズのバインダーに手書きで書かれた紙切れが挟んである。これまた味がある。
ブレンド、カフェラテ、トースト、、、などあるのだが、
最後メニューをめくると「店主のエッセイ」とある。

いつもいつも気になって是非とも読んでみたくなるのだが、恐らく店主さんであるだろうご本人に「エッセイください」と伝えるのが何となく気恥ずかしく、毎度頼めずにいる。

カフェラテを頼む際に一緒に「あ、あのエッセイもお願いします」と勇気を振り絞って伝えようとするのだが、いつも喉元で止まり頼めない。

仕方ないから「よし、帰り際会計した後にエッセイ下さいと頼んでみるぞ」と心に決めるが、会計し終え、もうすぐさま帰る雰囲気になってしまい頼めない。

そして、店を出て「また次来たときにこそ頼もう」と自分に言い聞かせている。

このループを何度もしてきた笑

今度こそ、店主さんのエッセイを手に入れてみよう。よし、よし、次こそは!

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