insomnia
瞼が急に軽くなってしまった。
あぁ、もう寝られないのかと悟った。
静けさの音の中では
向かいの工事現場の足場が
風を受けてガタついている。
手元のスマホに赤い数字が浮かび上がって
触れるとそれは、「話しませんか」という。
うん、話したい。
だけど、これはワタシが望む「話したい」の本質とはちょっと違うな。
これは…
そう。空っぽになっているこの状態を
満たして欲しいんだ。
ティーポットの注ぎ口から
温かいミルクティーをカップにゆっくり溢れんばかりに注ぐように、
ワタシの耳元でいつもみたいな優しい言葉をささやいて、
それで溢れさせてほしいんだ。
ああ、そうか。寂しくて恋しくて、寝てはいられなくなっちゃったわけか。
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