怖いもの【鳥の糞】

急に鳥の糞が怖くなった。
今迄何も思わなかったのに。

とある日、雨が微妙に降ったり降らなかったりの日、ちょっとそこまで出かけた帰り道。
カラスがマンション脇の木に止まってた。
木はそんなに大きくなく恐らく2〜3mくらい、一番上に止まってた。
お〜カラス、綺麗だなぁ(カラスの黒光りする感じを私は綺麗と思う)なんて思いながら横を通る時に、たまたまほっぺあたりを小さな水滴(?)のようなものがかすった気がした。
雨かなと一瞬思ったのに、数歩歩いた次の瞬間(あれ、もしかしてさっきのカラスの糞なんじゃ…)と思い始めた。

なんでそんなこと思い始めたのか今になると意味不明だがその時はプチパニック。
家についてすぐに服を全部着替えて、何も考えず他の洗濯物と一緒に洗濯してふと一息。

と、洗濯が回っている途中で(え、ちょっと待って…もしさっきの服に鳥の糞がついてたら、洗濯物と洗濯機が汚れるのでは…)ってなって更に大きなパニックに。
そこからはもうとりあえずなんとかしないとの気持ちで、洗濯機を水が少ない段階で途中で止め、洗濯物を出して…全部捨てた。
咄嗟の行動。
でもそれしか思い浮かばなかった。
(これが今後の悲劇を生み出すのだが)

とりあえず洗濯物は無くなった。
後は洗濯機だ、どうしよう…。

悩んだ挙げ句、仕方ない洗濯機をとりあえず出来る限り洗浄しようと思い立つ。
洗濯槽クリーナー(塩素系と酸素系両方)を使用し槽洗浄コースで1日中回した。
それでも気がすまず、次の日も、その更に次の日も洗濯機を洗浄した。
合計3日、洗剤を変え、コースを変え色々洗浄した。
その間勿論洗濯は出来ずたまる、替えの下着などが無くなる。

疲れと諦めがピークで、強迫行為は終わりになった。
こんなけしたら流れてるだろう、もし万が一残っててもかなり少量だし、そもそも洗濯槽は今までの蓄積汚れもあるし、それにこれくらいで何がどうってならない、もし万が一死んでももう良いや。
強迫観念が時間が経って減ったのと、疲れ果てたことと、諦めと、重なって辞めれたんだと思う。
3日かかったけど。

終わってから情けなさと罪悪感が出てくる。
水の無駄遣い、洗剤の無駄遣い、お金と時間を捨てているようなもの。
どうして糞がついてるかちゃんとチェックしてから洗濯しなかったのか、チェックしてたらここまでのことにはならなかったのでは。
そもそも普通の人は糞がついたって思わないしこんなこともしない。
私は普通じゃないんだと…

でも、その反面ほっとした。
とりあえずこの辛い状況から脱せられると。
でもでも、そんなに甘くなかった。
今のところ、これがピークの時かと思うが、強迫観念は手を変え品を変え出てくる。
それはまたおいおい。

今思い返しても辛いな。
そして、今振り返るとやっぱり突発的な行動は極端で恐ろしい。

その後、しばらく鳥の糞がつくのが嫌で外出出来ず。
予定も変更したり。
でも、更出来ないものもあるから、仕方ないと行動が不審になりながらも何回か出かけた。
鳥がいないかキョロキョロ、近くにいるといつ上を飛ぶかびくびく。
でも、誰かといる時はそんなこと出来ない。
仕方ないから平然を装う、しんどいけど。
それは今思えばある意味軽い暴露療法なのかも。

帰ってきてから全身チェック。
今もしているが、手を洗ってそのまま洗面所で、頭や髪の毛についてないか、肩についてないか、服についてないかをチェックする。
チェックの仕方も、以前は何回見ても何となく信用できなくて確認行為を何回もしたけど、今は1回さらーっと確認したら終わり、が出来る時が増えた。
そして、よっぽど糞がついたって感触がなければついてない、と思えるようになってきた。
そして、鳥の糞ついたって死なねーよ、とも思えてきた。
そして、もし死んでも別にいいや、と思えることも大きい。
悪い意味ではなく、人間皆いつか死ぬんだから、みたいな漠然とした感じ。
本当は良くないけど、心を落ち着かせる魔法の言葉的なことかな。
でも、とりあえず親と愛犬達よりは先に死なないようにお願いします、とも思う日々。

あれ、なんか話がそれてきた。
とりあえず強さの波が最終凪になるように、強迫観念に囚われすぎず動くのみ。


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