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好奇心の強い人

友人に大変好奇心の強い人がいました。車のデザイナーでした。

ちなみに、私は彼とは全く違う仕事をしています。

疑問に思ったことは何でも聞いてきます。

「それって、どうしてそうなるの?」

説明をしても、かなりのダメ出しを食らいます(笑)。

「あなたのその説明の仕方じゃあ、分かんないよ!」

「そこは○○と説明してくれなきゃ。」等々。

分かり易い言葉の選択に気を使います。

彼はいつもノートを持ち歩いていて、気が付いた事は何でも書き込んでいました。私も彼のノートに図を描いて説明します。

気が付けば、コメダ珈琲で7時間、話し込んでいたこともありました。

メールでも質問攻めです。「そう言えば、あれってどうなんだっけ?」

送信時間は朝の5時だったりします。とにかく思いついたら即、質問。

彼には、とても鍛えられました(笑)。

実は、質問を受ける側も勉強になるのです。

あやふやだった知識を再確認したり、気が付かなかった事を発見したり。

おかげで、その経験が今の仕事に活きています。

多くの方に、私の説明が分かり易いと言っていただけています。

ある時から、彼からの質問がぷっつりと来なくなりました。

「おかしいな?」と思ってはいたのですが・・・。

ある日彼の愛読していた雑誌を書店で立ち読みしていたら、彼の写真とインタビュー記事が掲載されていました。

記事の最後の方に、彼が亡くなってしまったことが記載されていました。

「あなたには、私の知っている事のすべてを教えたい。」そう言ってくれていた彼でしたが、その時間がありませんでした。

友人として過ごした時間は短かったのですが、彼は私に多くの事を与えてくれました。

彼自身は、こんなに早く自分が亡くなるなんて、思ってもみなかったことでしょう。まだまだ、やり残したことがあったはずでした。

最近、職場の私の隣の席に好奇心の強い人が引越してきました。

彼女の中にふと、彼の姿が映し出されます。

いい意味で好奇心の強い人は、私に元気を与えてくれるのでした。


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