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すれ違う親子

祖母は、嘆いていました。

「娘(母)は、男に生まれればよかったのに…」

母は、その精神力の強さをもって、結婚するまでの過酷な生活を乗りきってきました。

物心が付いた母の側に両親は居らず、誰も自分を守ってはくれませんでした。

やがて、両親の所に逃げ帰ってはみたものの、とても迷惑がられてしまいました。

「役立たずの女は、いらない!」

そもそも、極貧故、捨てられてしまった母。

「クッソー!」

「なんや、こやつら(両親)は!」

心の中は、いつも嵐。

こうして、男の様な大人に成長。

執念が実り、大企業に入社。

受付嬢を経て、副社長秘書に。

稼いだお金のほぼすべてを、祖母に渡していました。

やがて、結婚し、娘を生んだ母は、思いました。

「この子には、女の子としての教育を、一切施さない!」

どうも、性格が極端な母。

「アンタ、化粧とか要らんねん!」

「とにかく、飯食える女にならんかー!」

これに驚いた祖母。

「娘(母)が、離婚されるかも知れない!」などという、危機感を抱くことに…。

変な罪悪感を抱いた祖母は、何かと父に対して気を遣ってみたりするのですが…。

「お義母さん、楽にして下さい」と、父。

元々無欲な父に対しては、糠に釘(笑)。

父は、女としての甘えがない母を気に入ったのです。

祖母の卑屈な態度に、母は激怒。

「ほやから、あの婆さん(祖母)は、何時まで経っても不幸のままやねん!」

「娘を卑下するとは、何事かー」

「胸張って、堂々と生きて行かんかー」

親の心、子知知らず。

また、子の心、親知らずなのでした…。


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