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SAYONARA卵巣、GOODBYE子宮:卵巣腫瘍ができちゃった(3)「ごめん、大事になっちゃった」

小雨が降る中、駅前の婦人科へ向けて歩くこと約30分。
「え、駅遠くね?不便じゃね?」と思ったそこのあなた、騙されましたね。
何を隠そう、受診の1週間前くらいから人生初の腰痛に見舞われていて、この日もコルセットでがっちり腰をガードし、チワワのようなミニチュアダックスのようなヨークシャテリアのような、要するにちまちました歩幅でおっかなびっくり歩いていたため、通常の倍以上の時間を要したのです。
この時はこの腰痛も腫瘍のせいだったとは夢にも思っておりませんでした…

そわそわしながら診察を待つこと数分、いよいよ人生初の婦人科の受診です。(ちなみに男の先生)
いかに生理痛が酷いか、いつどういう症状が出たかを事細かに訴える気満々で台詞(?)を準備していたものの
先生「今日はどうされました?」
私「少し前から生理痛が酷…」
先生「じゃあ内診しましょう!」
と、かなりの食い気味で話が進みあれよあれよと噂のあの内診台に座らされ

ジャンジャカジャーン!

戸惑う間もなく器具を操られるや否や、カーテン越しに先生の一言

「こりゃ大きい。手術だね。」

「は?手術⁈大きい⁈何が?」と予想外の展開に戸惑いながらもどうやら卵巣に腫瘍があるらしいということだけは理解したところで一旦待合室に戻される。
頭真っ白でソファに座り、震える手でスマホを取り出し「卵巣腫瘍」でググる。都合よく「卵巣腫瘍の90%は良性」という情報が目に入り、「なんだ大丈夫、大丈夫、よくあるやつっぽい。手術っつっても大したことないでしょ」と自分を落ち着かせ平静を装う。

しばらくして診察室に呼び戻され、詳しい説明を受けることに。
動揺しまくりつつも覚えている内容は

  • 卵巣に13cmくらいの腫瘍がある(だいぶデカいっぽい)

  • とにかくなるべく早く大きい病院で診てもらったほうがいい(ん?心なしか先生焦ってる…?)

  • 間違いなく手術が必要(経過観察はありえないと断言)

  • 今まで婦人科の検診受けたことなかったの⁈(呆れ気味)

  • これはねー、太ったんじゃないんだよ…(無念そう)

  • 家族の病歴を聞かれ、父方母方Wでバキバキのがん家系、特に母方が婦人科系のがんのオンパレードであることを伝えたら「うーん…」と黙り込んでしまう先生

  • 紹介状書くけどかかりつけの病院ある?特に希望がなければ悪性の可能性を考えてこの道のエキスパートの先生知ってるから紹介状書くよ!(え、今悪性っつった??)

  • あなたの場合ね、ここにね、液体の部分と充実部分があるんだよね…(意味深な間)

  • とにかく早い方がいいから、○日で予約しちゃうよ?いいね?

ちなみにこの日は金曜日。仕事の都合だなんだを確認する隙もなく、来週中じゃないと!ということで週明けの水曜日に予約を入れられてしまい「あ、スケジュールがどうこう言ってられないくら緊急ってことね…」と震え上がる。

待合室に戻って紹介状の受け取りを待つ私。受診を勧めて病院探しまでしてくれた姉にとりあえずLINE。
「ごめん、なんか大事になっちゃった…」
いやほんと、せいぜい子宮筋腫くらいのもんだと思っていた(そういや筋腫もいくつかあるって言ってたな…)のでまさかの展開。卵巣どうこうってのは一切想像していなかった。というか生まれてこの方卵巣の存在を意識したこと自体ほとんどなかった。ごめん卵巣。

今振り返ってもこの時が1番動揺していて、涙目になりそうなのを必死で堪えていた。心なしか受付の人たちから憐れみの目で見られているような気がしてしまったほど。間違いなく自意識過剰。

会計を済ませて外に出た時、さっきまでの街の景色とは全く違うものに見えた。買い物して帰るつもりだったけれど全てすっとんだ。(未だに何買いたかったのか思い出せない。必要なかったんじゃん。)
とにかく、あの時のモヤがかかったような駅前の景色は未だに目に焼き付いているのです。

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