私はたぶん序盤で死ぬ
2005年年公開映画「宇宙戦争（War of the Worlds）の指輪
文・みねこ美根（2018年8月1日連載公開）

　明後日の8月3日、トム・クルーズ主演の「ミッションインポッシブル フォールアウト」が公開される(連載当時)。ちなみに私は、今までの中では4作目の「ゴーストプロトコル」が一番好き。数々のミッションをこなしすぎていて、もう”ポッシブル”だよ、トム。しかしそんな彼が、下手をすると「ミッションインポッシブル」より生存がインポッシブルな状況に置かれてしまう映画「宇宙戦争」の指輪を、今回は作った。なぜかDVDが我が家にずっとあって、1年前くらいにやっと初めて見れた（怖くて見れてなかった）。宇宙人が地球を侵略しようと、どんどこ人を殺していくわけだが、描かれるのは宇宙人との闘いではなく、人間たちの姿なのだ。今回書くにあたってもう一度見直したが、とりあえず終始、地獄絵図。

　電気、通信媒体を失い、嘘の情報が行き交い、車を奪い合い殺し合い、我先にとフェリーへ走る人々。光線を浴びた人々が灰となり、その粉やら服やらが空を舞う。イヤァァ

　こうした精神的に追い詰められていく映画では、物語の緩急のためにも音楽が必須だが、本作で秀逸なのが宇宙人の乗り物トライポッドの初登場シーン。地下からその全貌を明らかにする瞬間、静かなのだ。人々が様子を伺う緊張感による静けさが非常に良い。ババァーン！とかいうギャグ音楽はここでは切り捨てられている。

　そしてなんといっても場面数が多いのが最高！主人公たちの移動が多いため、見飽きない。私が好きなのは、冒頭で車に乗り込むシーンとハーランの家のシーン。娘・レイチェル役のダコタ・ファニングが素晴らしい。あと超かわいい。超かわいいんだけれど、涙を目にいっぱい溜めて怯える表情や、必死に子守唄を歌う姿が、とにかくかわいそうすぎて感情を揺さぶられる。

　子どもたちを守ろうとするレイ（トム・クルーズ）の姿や描き方も好き。実の父親であるものの、妻と離婚し子どもたちとは離れて暮らしており、久しぶりに会っても子どもたちとはギクシャク。実際子どもたちのことをよく知らないレイの姿が描かれる。レイチェルの学校でのこと、アレルギーのことも知らず、長男ロビーの反抗的な態度にばかり目が行ってしまう。しかし、皮肉にも宇宙人が攻めてきたことによって、正義感の強い優しい息子の姿を知り誇らしく思い、また、レイチェルのことや子守唄すら知らない自分に気が付き悔いる。その描かれ方が自然で、わざとらしくない。秘密工作員ではないので、本作では人間らしい弱さのあるトム・クルーズを見ることができる！　「宇宙戦争」だけど人間ドラマなのだ。どのシーンも「………人間！！（泣）」となること請け合い。

　監督はスティーブン・スピルバーグ、音楽はジョン・ウィリアムズ。あれ。書き覚えがあるわ…。（第7回「フック」 https://okmusic.jp/news/269086/ ）

　「フォールアウト」面白いのかなぁ。前作の「ローグネイション」は同級生と映画館で見た。この頃、付き合っているわけでもないのに、その同級生と二人でよく映画館に行っていた。勘違いした私はあるとき告白して振られた。その夜、一晩で曲ができたから良しとしている。このことを半ば笑い話で、友人に話した時に「勘違いしすぎ！ウブかよ」と笑われた。「………人間！！（泣）」
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指輪：モチーフ…トライポッド、宇宙人が育てる赤い茎、夜の海、
　　　転覆しかけたフェリー、投げ出される車
音楽：「The Reunion」 John Williams（オルゴールver. cover）

オルタナティブ・シンガーソングライターの〝美根〟です。
作詞作曲をして、ギターとピアノの二刀流で唄い、自分の世界を届けています。
「みねこ美根」名義で活動していた2018年から、OKMusicさんにてweb連載を続けてきた「映画の指輪のつくり方」。
たくさんお世話になったOKMusicさんのサイト運営終了に伴い、noteに移行して連載を続けています。
毎月、大好きな映画から一つ選んで、それをテーマに指輪を制作。
勝手に皆様へお薦めするレビュー文章、制作作業動画を公開中。動画では劇中歌のカバーも。ぜひ、楽しんでいってください。
私の本業である音楽活動など、さまざまな情報はこちらのリンクからがとても良きです。
私を知るためのキーワードは・・・
オルタナティブ、ライブ活動、ランプ、弾き語りスタイル、バンドスタイル、耳と脳にこびりつく作品たち、心火、焔心の砦、美術館でも展示された指輪たち、自作ストップモーションアニメ、MV、毎週水曜生配信番組、2024年5月24日と6月9日のワンマンライブ、人生初の弾き語りツアー・・・
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