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映画「フック」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第7回

ネバーランドに連れてって
1991年公開映画「フック(Hook)」の指輪
文・みねこ美根(2018年6月1日連載公開)

 ピーターパンが好きだ。ディズニーのアニメーションも好きだし、キャシー・リグビーが演じていたブロードウェイミュージカル版も大好き。ジョニー・デップ主演の「ネバーランド」も最高だった。小学生のとき磁石を使った工作が課題で出されたとき、厚紙の後ろで見えないように磁石を動かし、クリップを裏に貼り付けたピーターパンの絵が飛んでいるかのように動く作品を作ったことがある。自分のアイデアに酔いしれていたら、隣の男子が茶々を入れてきて、頭がわーっ!と恥ずかしくなってしまい、授業参観でその子の母親が見ているのも忘れて、彼の頭をはたいてしまったことがある。本当にごめんよ…。

 ピーターパンから派生した映画は数知れず、この1991年公開のスティーブン・スピルバーグ監督作品「フック」もその一つだが、もうこれは名作中の名作。見てない人は今すぐレンタルしてきなさい!

40歳になったピーターパンが、再びネバーランドに戻り、彼の実の子どもたちを誘拐した宿敵フック船長と戦う!という素晴らしい設定…。もうこの大人になったピーターがどうしようもない仕事人間パパで、しかも高所恐怖症、家族を顧みないため、妻や2人の子どもたちともギクシャクしてしまっているのだ。本当にこの中年太りのおじさんがピーターパン…?セリフ一つ一つがピーターパン精神とは真逆のことを言うので、滑稽で悲しく、素晴らしい。

 40歳ピーターパンを演じるのは、ロビン・ウィリアムズ、宿敵フック船長をダスティン・ホフマン、ウェンディがマギー・スミス、ティンカーベルがジュリア・ロバーツ、そして、若き日のウェンディを演じるのが(出るのは一瞬だけど)「アイアンマン」でペッパー役のグウィネス・ケイト・パルトローなのだ!(調べたら書いてあった)凄すぎる…。とにかくジュリア・ロバーツが可愛い。可愛いジュリア・ロバーツ…。そしてロビン・ウィリアムズのビフォーアフターがすごい。どんなビフォーアフターかはぜひ見て頂きたい。

この作品、子どものころに初めて見たのだが、当時は人魚とピーター、○○とピーターのキスシーンにどぎまぎしながら、ピーターの息子ジャックの、この年頃特有の親からの愛に不安を抱く気持ちに共感し、ピーターやジャックの記憶の危うさに恐怖を覚えた。

 「幸せなことを考えると空を飛べる」というもともとの設定をうまく使う筋も非常に憎い!加えて、中でも好きなシーンは、迷子たちとの食事のシーン。「想像すると本当になるんだよ」というセリフ。豊かさとは、貧しさとはなんだろう、お金?想像力?そして大人になることへの恐怖と寂しさ…大人になった今見ても、胸に突き刺さるシーンが多い。

 ウェンディの「ピーター…海賊になってしまったの?」というセリフが切ない。そうか、大人は海賊なのか…。海賊の皆さん今月も頑張りましょう。

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指輪:モチーフ…ぬいぐるみのタディ、ジャックの時計、“キス”の指ぬき、ピーターの携帯電話、フック船長のかぎ爪、ピーターの剣、ティンカーベル、妖精の粉
音楽:「Flight to Neverland」John Williams (オルゴールver. cover)

オルタナティブ・シンガーソングライターの〝美根〟です。
作詞作曲をして、ギターとピアノの二刀流で唄い、自分の世界を届けています。
「みねこ美根」名義で活動していた2018年から、OKMusicさんにてweb連載を続けてきた「映画の指輪のつくり方」。
たくさんお世話になったOKMusicさんのサイト運営終了に伴い、noteに移行して連載を続けています。
毎月、大好きな映画から一つ選んで、それをテーマに指輪を制作。
勝手に皆様へお薦めするレビュー文章、制作作業動画を公開中。動画では劇中歌のカバーも。ぜひ、楽しんでいってください。
私の本業である音楽活動など、さまざまな情報はこちらのリンクからがとても良きです。
私を知るためのキーワードは・・・
オルタナティブ、ライブ活動、ランプ、弾き語りスタイル、バンドスタイル、耳と脳にこびりつく作品たち、心火、焔心の砦、美術館でも展示された指輪たち、自作ストップモーションアニメ、MV、毎週水曜生配信番組、2024年5月24日と6月9日のワンマンライブ、人生初の弾き語りツアー・・・
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